Facebook Japan新代表が初会見、2016年の注力分野を語るオーディエンスネットワーク、中小企業、VR他(1/2 ページ)

2015年12月9日、Facebook Japanはメディア向け懇親会を開催。代表取締役の長谷川 晋氏が登壇し、2015年の振り返りと2016年の展望を語った。

» 2015年12月10日 19時55分 公開
[織茂洋介ITmedia マーケティング]

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 2015年12月9日、Facebook Japanは東京・六本木のFacebook東京オフィスにおいて、10月5日に代表取締役に就任した長谷川 晋氏によるメディア向け懇親会を開催した。長谷川氏がメディアの前で会見を行うのは今回が初。長谷川氏は自己紹介の他、2015年の振り返りと2016年の展望を語った。

リーダーの横顔

長谷川氏 Facebook Japan代表取締役 長谷川 晋氏《クリックで拡大》

 長谷川氏はまず、Facebook入社までのいきさつを、自らの生い立ちにさかのぼって説明した。2歳から9歳までの間を米国で暮らしていたという長谷川氏は京都大学を卒業後、2000年に東京海上火災保険(現 東京海上日動火災保険)に入社。2003年に米Procter & Gamble(P&G)に移り、アジア市場を担当。紙おむつの「パンパース」やひげそりの「ジレット」「ブラウン」、化粧品の「SK-II」といったさまざまなジャンルの消費財のブランドやビジネスマネジメントを手掛けた。最後の赴任地であるシンガポールで楽天に転職。上級執行役員としてグローバルおよび国内のマーケティングを統括していた。

 外から見ていたFacebookについて、長谷川氏は3つの点で興味を持ったという。1つ目は「世界をよりオープンでつながったものにする」という同社のミッション。シンガポールで暮らした5年の間に中学校の恩師とFacebookで交流を深めたり、東日本大震災で被災した知人の消息をFacebookで確認したり、個人的な体験から長谷川氏は同社のミッションに共感していたという。2つ目はビジョン。Facebookではテキストから写真、ビデオと、新たなコミュニケーション手段を次々と開発している。2014年には米Oculus VRを買収し、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった手段まで見据えて投資している。そうしたところに「コミュニケーションの取り方自体も進化していくことを理解している」と感じたという。3つ目が「会社のステージ」。ユーザー数15億人を超えてなお、Facebookでは“This journey 1% finished.(まだ旅は1%しか終わっていない)”という考え方を大事にしているという。日本において企業のベストパートナーとなるためにまだまだやるべきことがある。そうしたポテンシャルの高さに魅力を感じたことが入社のきっかけとなったそうだ。

2015年の振り返り

Facebookでは全世界のオフィスで、天井をはがして配管をむき出しになった内装を取り入れている。「常に工事中」という意思表示だという《クリックで拡大》

 2015年の日本におけるFacebookのユーザー数(月間アクティブ利用者)は2500万人強。うち64%は毎日アクセスしているという。モバイルからのアクセスは92%、動画再生のモバイル比率も90%と高く、モバイルを前提とした利用シーンにおいて、いかにサービスを使いやすくしていけるかが当面の課題だと長谷川氏は言う。

 一方、Instagramのユーザー数は800万人強。前年比2倍の成長率だという。モバイルと親和性が高いInstagramは、グローバルでの利用時間が1日平均21分ともいわれるが、日本でも広く浸透しており、「日経MJ」が2015年12月2日に発表した毎年恒例の「ヒット商品番付」にも選ばれている。

 ビジネスサイドにおいては、FacebookやInstagramが認知・検討・コンバージョンという、ユーザーの購買行動におけるさまざまな場面で、それぞれ役割を果たすようになっているとしている。

 Facebookでは、1つの広告ユニットで複数の画像やリンクを紹介できる広告フォーマットとして「カルーセル広告(旧マルチプロダクト広告)」を採用している。2015年5月にはモバイル版をリリースし、スマートフォンの限られたスペースを有効に使える手段として人気を博している。これをWebやアプリのアクセス履歴データと連動して最適な広告を表示する「ダイナミック広告」と組み合わせることで、小売業の米TargetではモバイルでのCVR(コンバージョン率)が2倍に上がったという。カルーセル広告はInstagramでも採用されている。

 動画広告にも力を入れている。調査会社のカンタージャパンが広告素材別の認知効果測定を行った結果では、動画は静止画の2倍以上という結果が出ている。ユーザー情報を参照し、エリア別に動画コンテンツを出し分けるといった取り組みも行われており、同調査でも、パフォーマンス上位20%の企業では、ブランド広告認知からブランド好意度、利用/購入意向と、それぞれの場面で高い効果を上げていることが確認できたという。ただし一方、下位20%の企業ではほとんど効果が出ないことも分かっており、長谷川氏は「結果を出すためにクリエイティブの質が大きく影響する」と強調した。

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