【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?SEOタイムズ編集部が初心者向けにわかりやすく解説

Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応について解説します。

» 2024年04月26日 13時00分 公開
[谷川祐一SEOタイムズ]

 2024年2月29日に公開したこの連載で「オールドドメインSEOとは? 中古ドメインを活用するメリットとリスク」について解説しました。しかし、その後状況に変化がありました。Googleが2024年3月に、期限切れドメインの不正使用をスパム扱いにするという公式見解を発表したのです。その理由や今後Web担当者が取るべき対応について解説します。

Googleが中古ドメインに関して公式見解を発表

 中古ドメインとは、以前に他の人や企業によって使用されていたドメインが何らかの理由で放棄された後に再販売されたものを指します。中古ドメインは過去のWebサイトでGoogleから受けていた評価を引き継いでいるため、本来時間のかかるSEO対策がすでに反映されていることが多いとされ、注目を集めていました。

 しかし2024年3月、Googleは「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」(外部リンク)をアップデートし、「期限切れのドメインの不正利用」を、スパムに関するポリシーに反するものとして定めました。この「期限切れのドメイン」が、中古ドメインに該当するのです。発表された内容には、以下のように記載されています。

期限切れのドメインの不正使用とは、期限切れのドメイン名を主に検索ランキングを操作する目的で購入し、ユーザーにとってほとんどまたはまったく価値がないコンテンツをホストするために再利用することです。

 今回のアップデートにより、「サイトの評判の不正使用」も禁止されました。サイトの評判の不正使用とは、評判のよい大手サイトのサブドメインを間借りして無関係なアフィリエイトなどの活動をする、いわゆる「寄生サイト」のことです。

 これまでのSEO評価は基本的に親サイトの評価が軸となるため、サブドメインに質の低いコンテンツがあって上位表示されやすい傾向があり、そのことが問題視されていました。

 2024年5月5日から、寄生サイトが低品質かつ、むやみに検索結果に関与しようとした場合には、親サイトの評価に関わらず違反行為になります。中古で販売されているドメインがサブドメインに該当するケースもあるため、よく確認するようにしてください。

 今回のスパムに関するポリシーの変更を受け、コアアップデートも実施されています。特に中古ドメインに関して制限がかかったことで、個人で運営しているWebサイトは大きな影響を受ける可能性があります。一般的にコアアップデートは1ヶ月程度で反映されます。4〜5月にかけて大きな順位変動が発生する可能性があるため、Web担当者はよく確認しておくようにしてください。

中古ドメインを使ってはいけない5つの理由

 今回のスパムに関する変更を踏まえると、Webサイト運営をしようと考えている方は中古ドメインを使わずに構築していくのがおすすめです。あらためて、その理由をまとめていきます。

理由1:Googleペナルティに触れてしまっている恐れがある

 そもそも中古ドメインがなぜ販売されているのかと言えば、それが既に使われなくなったからです。手放されたのは、そのドメインがGoogleペナルティに引っかかっており、運営状況が悪くなったからという可能性もあります。中古ドメインは良くも悪くも過去のステータスを引き継ぐため、Googleの規定に違反した状態であれば、それがそのまま引き継がれてしまいます。この場合、新規ドメインでスタートするよりもさらにマイナスな状況からWebサイト運営がスタートしてしまいます。

理由2:どれだけ記事を投稿してもインデックスされない可能性がある

 中古ドメインがペナルティに違反している場合、新しくコンテンツを追加してもインデックス登録されません。そのため、効率よく上位表示を獲得しようと考え中古ドメインを取得したにもかかわらず、一向にコンテンツが反映されず、逆効果になってしまいます。

理由3:中古ドメインがペナルティを受けているかを確認するのは困難

 過去の履歴を確認できる「Wayback Machine」などの無料サービスもありますが、被リンクや根本的な記事の質が悪い可能性も加味しなければなりません。多くの視点で評価する必要があるため、すでにWebサイト運営に関するノウハウを十分に持っていないと中古ドメインは扱いにくいのです。

理由4:扱うテーマに合ったドメイン名が選べない

 新規ドメインでWebサイトを構築していく際は、扱うジャンルやキャッチコピーなどを基にドメインを決めることが一般的です。ドメインはWebサイトの看板になり得るものなので、ひと目でどのような情報を扱っているサイトかが判断できる状態が理想です。しかし中古ドメインでは類似したジャンルを扱っているとは限らないことから、このような目的での設定ができなくなってしまいます。基本的に中古ドメインを使用してサイト運営をする際は、既存の内容を引き継いでいくという考え方が適しています。

理由5:費用の削減にならない

 中古ドメインの価格は、そのドメインの質によって変わるのが一般的です。通常はインデックス数、コンテンツの質、被リンクの質と量、運用期間などを参考に、ドメインパワーの強弱によって価格が変わります。そのため、ドメインによっては大幅にサイト構築時間を短縮してスタートできますが、そのぶん初期投資が必要です。逆に安く販売されているドメインはSEO対策に時間も手間もかかります。そう考えると中古ドメインは新規ドメインの取得とさほど費用に差がないと言えます。

中古ドメインを使うには元のWebサイト構造の理解が重要

 今後もし中古ドメインを使用するのであれば、元のWebサイト構造の理解が重要です。理由は大きく2つ挙げられます。

階層構造を無視すると被リンクの評価がリセットされる

 中古ドメインを使用する際は、元のWebサイトが持っていた階層構造を理解して、可能な限りそのまま活用するのが基本です。もし完全に異なるサイト構造に修正してしまうと、その階層に設けられていたページのURLが全て変わることになります。そうなると、被リンクをうまく生かすことができません。リダイレクト設定も可能ですが、ページ数が多ければ現実的ではありません。階層を増やすことに問題はないものの、削除や変更を加えることはできるだけ控えましょう。

別ジャンルの情報発信をすると被リンクを生かせない

 中古ドメインを活用する場合、元サイトと異なるジャンルやテーマで運営しないようにしてください。そのドメインに対してすでに存在する被リンクを新たに運営するサイトに生かさなくては意味がありません。

 そもそも検索エンジンは、リンクの質と関連性を高く評価するため、関連性のない被リンクになってしまうとSEOにおいて価値を持たなくなります。例えば、教育関連の情報発信をしていたドメインで美容関連の情報を発信してしまうと、被リンクとの関連性がなくなってしまいます。必ず元サイトを生かす意識を持って、中古ドメインを選ぶことが大切です。


 中古ドメインを使えば基本のSEO対策が済んでいることが多く、「初心者でも簡単にWebサイト運営が始められるのでは?」と考えるかもしれません。

 しかし、実際は使用にあたってある程度知識が必要で、ゼロベースでWebサイト運営をするよりも難しい部分が多いのが現実です。

 今回のスパムに関するアップデートにより事実上中古ドメインの使用がほぼ禁止されたと考えられるため、基本的には新規ドメインを取得しての運営がおすすめといえます。

 Googleは今後も定期的にコアアップデートを行っていくでしょう。Web担当者は常にアンテナを張って最新情報をキャッチするようにしましょう。

執筆者紹介

谷川祐一さん

谷川祐一

たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム シニアマネージャー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者としてSEO初心者向けオウンドメディア『SEOタイムズ』とSNS運用代行サービスの立ち上げをおこなう。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。


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