エスティ ローダーのマーケティングコストの9割は「デジタル」 クリエイターとの賢い付き合い方とは?Marketing Dive

化粧品会社Estee Lauderの「eTail Palm Springs」におけるプレゼンテーションのテーマはブランド試算とマーケティングミックスモデリング(MMM)への取り組みだった。

» 2024年03月22日 11時00分 公開
[Chris KellyITmedia マーケティング]
Marketing Dive

 Estee Lauder Companiesは、Clinique、MAC Cosmetics、La Merなど、10億ドル規模のブランドを擁している。同社の成功は、広告業界がここ数年ブランド構築よりパフォーマンスマーケティングに傾倒する中で、両者のより良いバランスを模索してきた努力と無縁ではない。

 同社シニアバイスプレジデントのダグ・ジェンセン氏(市場開拓分析とアクティベーション担当)は「周知のように、どのCMO(最高マーケティング責任者)も(ブランド構築の)コストとパフォーマンスマーケティングの比較について議論している。そこで私たちは、ファネルの上流と中流におけるブランド資産のコストと下流におけるパフォーマンスを一つのエコシステム内で測定する多段階のアプローチを考案した」と述べている。

 ブランドマーケティングとマーケティングミックスモデリング(MMM)へのコミットメントに依存するこのアプローチは、2024年2月27日に開催されたカンファレンス「eTail Palm Springs」でのジェンセン氏の基調講演のテーマだった。

バズったらすぐ動けるようにするために

 Estee Lauderにとって、マーケティング活動がセールスファネルの各段階へ及ぼす影響を理解することは、重要な優先事項だ。例えば、どの取り組みが好感度を高めるか、アッパーファネル戦略がどのように下方へ連鎖するか、デジタルマーケティングやEコマースがどのように認知を促進するか、ブランドのWebサイトがどのように消費者を実店舗に誘導するかといったことを知ることが挙げられる。

 約10年前、Estee Lauderのマーケティングコストの90%は広告や既存メディアへの露出のために費やされていた。現在では、クリエイターを中心としたデジタルチャネルに90%が費やされている。ここには本物のリレーションシップの育成、インフルエンサーとの提携、クリエイターとの商品アイデアの共同開発などが含まれる。Estee Lauderはスキンケアとメイクアップのカテゴリー全体でクリエイターと協力しており、TikTokで人気の皮膚科医「DermTok」)をはじめ何十万人から何百万人ものフォロワーを持つインフルエンサーや著名人まで、さまざまな範囲のフォロワーを持つ人々と連携している。

 あるクリエイターが「Cicapair」という製品に関するDr.Jartの動画をブランドの関与なしで大きく拡散し、4000万ビューを記録して売り上げに貢献した例もある。この成功に乗ってEstee Lauderはそのクリエイターのコンテンツを自社のチャンネル用の資産とすべくライセンス契約し、広告を通じてブーストさせた。さらには別のクリエイターを雇って同様のコンテンツを収録させる「再入荷(back in stock)」戦略も実行した。

 「拡散は偶然に生じるもので、それを計画することはできない。しかし、拡散が生じたら、素早く行動を起こし、コンテンツのライセンスを取得し、その周囲で360度マーケティングを展開し、CRMを活用して消費者を囲い込むようにするべきだ」とジェンセン氏はアドバイスする。

(「古くて新しいMMM(マーケティングミックスモデリング)が今注目される理由」に続く)

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