Expediaは、日本での18周年を記念してブランドを刷新した。テクノロジーへの投資を強化し、日本の観光業界支援も視野に入れる。また、パーソナライズされたサービスなど、日本市場向けの取り組みも行う。
Expedia Groupは傘下に「Expedia」「Hotels.com」「Vrbo」「Trivago」などを持つ世界最大級のオンライン旅行代理店(OTA)だ。全ブランドの登録会員数は1億6800万人以上。6万社以上のパートナーと提携し、世界70地域以上でサービスを展開している。日本では2024年に18周年を迎える。これに際し、同社は日本をターゲットに新たなマーケティングキャンペーンを開始する。2024年2月20日には同社副会長兼CEOのピーター・カーン氏とブランド統括プレジデントのジョン・ギーゼルマン氏が来日し、同社のブランド戦略とキャンペーンの概要、今後の日本の旅行市場の展望などについて語った。
Expedia Groupは2023年4月にOTAとしていち早くサービスにChatGPTを統合し、Expediaのモバイルアプリに対話型の旅行プランニング機能を実装したことで知られている。また、Hotels.comにおいてAIを活用したスマートショッピング機能でホテル探しの負荷を軽減するなど、旅行体験向上のためのテクノロジー投資に積極的だ。
カーン氏は、Expedia Groupが「AIなどのテクノロジースタックを基礎から再構築」していると述べ、さらなるサービス強化のため、以下の4つの機能を提供開始したことを紹介した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが収束して訪日インバウンド需要が完全復活の様相を呈している。観光庁が2024年1月17日に発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、2023年は訪日外国人旅行消費額が5兆2923億円と、過去最高を更新した。
訪日需要の高まりはExpedia Groupが保有するデータにも表れている。米国からの旅行者は非アジア圏で最大だが、2023年の米国からの旅行者の約半数(48%)はExpedia Groupのサービス経由で日本を訪れていると推定される。また、Expediaでの「東京」の検索数は2年連続で前年比55%増加しているという。
Expedia Groupは現在、人々の旅行の目的地を日本の大都市以外の場所に置き換えて「まだ知られていない日本」を知ってもらうことに注力しており、これにより日本の観光業界を支援したい考えだ。日本の利用者向けには24時間365日の電話による日本語音声サポートと、X(旧Twitter)でのチャットサポートも提供する。カーン氏は(恐らく、2023年に日本で報じられた返金を巡るトラブルなどを念頭に)「私たちは昨年、幾つかの間違いも犯した。それでカルチャーを変える必要があった。特に顧客サービス面での改善は必要だ。消費者の信頼を勝ち取り、維持しなければならないと強く信じているため、最高のサービスとオンライン旅行に世界中で継続的に投資している」と述べた。
テクノロジーへの投資で顧客体験をより良いものにする一方、サービスの魅力を訴求するため、Expedia Groupはマーケティング活動への投資も積極的に行っている。
グローバルで展開するブランドメッセージ「Made to Travel」には二重の意味があるという。一つは、人は誰もが旅をするという意味。もう一つは、Expedia Groupのサービスが旅行を楽にするために作られたものという意味だ。しかし、それが世界共通で理解されるかというと、なかなか難しい。グローバルに伝えたいメッセージと、ローカルに関連するメッセージとの間のバランスを取る必要がある。そこで、日本版のブランドメッセージは「いつものそとへ」と訳された。
このメッセージの下、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディア、OOH(屋外広告)などを横断した新たなキャンペーンを開始している。「Netflix初のグローバル広告パートナーはExpedia 日本を皮切りにグローバルキャンペーンを展開」で紹介した通り、Expedia Groupは2024年を通じてNetflixでもマルチマーケットキャンペーンを展開することになっているが、その口火を切ったのは日本からだ。
ギーゼルマン氏は「私たちはNetflixと世界的な契約を結んだ最初の企業だ。それは自信の表れと言える。2つの大きなパートナーが協力して日本で最初に広告を開始したのは、市場に抱えている顧客の数を考えると理にかなってたことだと思う」とコメントし、日本が同社の中でも重要なマーケットであると認識していることを強調した。
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