2024年のPinterestのテーマはIRL(In Real Life:現実世界)との接続となるだろう。
SnapchatのARES(AR Enterprise Services)プロジェクトと同様に、Pinterestもまた、プラットフォームを実世界の体験と融合させるために、より多くの店舗との統合を促進することに目を向けることになるだろう(既に述べたようにInstagramもこの領域を狙っている)。
Pinterestは今、何百万人ものユーザーにとって、商品発見とショッピングにおける重要な目的地となっている。小売店と直接連携することで、その存在感を高めると同時に、小売業者に低コストのAR統合を提供してショッピングジャーニーを向上させることができる。
PinterestのAR体験のレベルが上がることは、ユーザーと店舗の双方にとってメリットがある。近い将来、地元のショッピングモールにPinterestブランドのARディスプレイが登場することになると予想している。
これと同様に、Pinterestはアプリ内体験をさらに向上させるため、AR試着機能を進化させ続けている。
Pinterestはすでにメークアップにおいて仮想テストツールを提供しており、ホームデコレーション製品でも実験を行っている。最近のモバイル機器に搭載されている高度なLiDAR(光による検出と測距)を使用することで、場面や空間をより正確にマッピングし、適切なスケーリングとフィット感を確保できる。Pinterestは今後も、より実世界のフィット感に近い衣服の試着ツールなど、ARオプションを追加していくだろう。
この分野で、Pinterestは実力以上の成果を出し続けている。Pinterestをショッピング目的で使う人々にとってARが価値を発揮する可能性を考えると、ここをもっと頑張ることで、Pinterestは小売業におけるARイノベーションのリーダーになれると思う。
また、Pinterestは生成AIも統合するだろう。これまでのところ、Pinterestは生成AIの時流に乗っておらず、そのコアミッションに専心している。しかし、より多くの人が会話プロンプトによる検索に慣れるにつれて、Pinterestも会話型AI検索ツールを追加してアプリ内の発見を強化することになると予想している。
ここには葛藤が生じる可能性がある。PinterestのCEOであるビル・レディ氏は元Googleの幹部であり、MicrosoftやOpenAIと今すぐ契約を結ぶよりも、GoogleのAIツールを統合するのを待つ方に傾く可能性があるからだ。
しかし、技術的な問題はさておき、私はPinterestが2024年のある段階で新しい形の生成AI検索を展開すると考えている。例えばあなたが着たい服をAIで視覚化し、それに基づいてPinterestのシステムが類似した実際の商品を見つけることができるツールを提供するのではないだろうか。
ここでのもう1つの重要なイノベーションとなりそうなのが、仮想ワードローブだ。これを使って自分が所有している衣類をスキャンし、そのデータを基にPinterestが好みを理解し、レコメンデーションのアルゴリズムをより洗練させることができるようになる。
カメラで撮影した画像からアイデアを検索する「Pinterestレンズ」は、すでにこれをある程度実現している。しかし、お気に入りのアイテムをスキャンするための専用プロセスを構築することで、Pinterestはユーザーの興味に沿った、より充実した発見へとユーザーの行動をうまく導くことができるようになるだろう。
課題は、これをいかにシンプルにするか、あるいは楽しくするか(あるいはその両方)だが、ARと連携したパーソナライゼーションの推進とともに、これはPinterestが開拓すべきあらたなビジネスチャンスになるのではないだろうか。
Pinterestはまた、商品に関するより多くの洞察を提供するために、インストリームで3Dオブジェクトを簡単に作成できるようにする必要がある。
すでに3Dホームデコレーションピンでその端緒をつかんでいるが、カタログフィードの取り込みツールの中で、これをより簡単で正確なプロセスにする必要がある。
Pinterestのデータバンクに3Dアイテムが増えれば増えるほど、AR試着やその他の表示方法を使って、より多くの方法で表示できるようになる。
そしてまた、ARグラスが登場することで、Pinterestはオンラインショッピングの次のステージに追いつくためにこれを必要とするだろう。
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