インターネットに接続されたテレビである「コネクテッドTV」。従来のテレビと何が同じで何が違うのか。広告主の観点でその可能性を探ってみると……。
CTVはConnected TV(コネクテッドTV)の略。文字通り、インターネットに接続されたテレビを指す。かつてテレビのコンテンツはテレビ局やCATV事業者などが配信するものだった。しかし、今日ではスマートテレビやセットトップボックス(Apple TVやAmazon Fire TVなど)、ゲーム機などを通じてテレビでインターネットのコンテンツ(主に動画)を視聴する機会が増えている。CTVは進化するメディアの一部として重要な要素となり、広告を掲載するための新たなチャネルとして注目されている。
CTVと似た概念にOTT(Over The Top)がある。これは、インターネットを介することで、従来のケーブルや衛星テレビサービスをバイパスしてコンテンツを提供することを指しす。NetflixやAmazon Prime VideoなどのストリーミングサービスはOTTのカテゴリに含まれる。
CTVはデバイスの種類(インターネットに接続されたテレビ)に関するものであり、OTTはインターネットを介したコンテンツの提供方法に関するものという点が異なる(OTTはスマートフォンやタブレット、PCなど、テレビ以外のデバイスでも視聴できる)。
視聴者から見たCTVのメリットは以下の通りだ。
広告主から見たCTVのメリットは以下の通りだ。
サイバーエージェントがデジタルインファクトと共同で毎年実施している国内動画広告の市場動向調査によると、CTV向け動画広告需要は急拡大しており、2022年の市場規模は前年対比157%となる540億円。今後もさらなる伸びしろが期待される。
テレビCMとデジタル広告のいいとこどりが期待できるCTV広告だが、現時点ではまだ「全国民が見るデバイス」にはなっていない。しかし、ユーザーの視聴行動を捉えて分析できる点は大きな強みであり、そこで得た知見からペルソナにマッチする新たなクリエイティブを生み出していくことは、今後のCTV広告の可能性を広げる大きなポイントとなる。同時に、得られた知見を他のチャネルで展開することも重要だ。
例えば電通は2023年11月、CTV広告を起点としてテレビデバイス全体で効果的な広告素材の「絞り込み」と「再拡張」を実現する「4-2-1-3スキーム」を提供開始している。近年、スタートアップ企業などでは、デジタル動画広告で効果の高かった広告素材を絞り込んでテレビCMを実施する例が増えているが、PCやスマホでパフォーマンスの高いクリエイティブが必ずしもテレビで効果が高いとは限らない課題があった。そこで「4-2-1-3スキーム」においては、テレビCMに視聴環境が近いCTV広告で4素材を出稿しで効果を検証した上で2素材に絞り込み、テレビで放映し、効果を検証して1素材に絞り込むようにしている。また、素材が摩耗してきた(飽きられた、効率が悪くなった)場合に備えて、元の全素材について「良かった要素」「悪かった要素」を抽出して新たに改良された3素材を作成することで、効果を継続的に維持するようにしている。
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