チラシも店舗も 「リアル」のデジタル化が止まらないマーケ×ITニュースダイジェスト

今週は、ブラザー販売のプリンタを活用した広告配信サービスやストアギークのマーケター向けリテールメディアサービスなどを紹介する。

» 2023年10月27日 12時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 デジタルマーケティングやCXに関する気になるニュースを最近のリリースからピックアップして紹介する。今週はプリンタによる広告配信サービスや新たなリテールメディアサービス、売れるネット広告社上場などのトピックスを紹介する。

チラシをリモート印刷、プリンタによる広告配信サービスの実証実験を開始

 ブラザー販売は新潟県を中心に食品スーパーや宅配事業を手掛けるオーシャンシステムと協力して、プリンタのリモート印刷機能を用いた広告配信サービスの実証実験を2023年11月1日より開始する。新潟県内でモニターとなる約100世帯にリモート印刷ができるブラザーのプリンタを6週間貸与する。実証実験では、オーシャンシステムが運営する宅配事業に関するチラシデータを配信。モニター参加者は、貸与されたプリンタから自動で印刷されるチラシを閲覧できる。今回の実証実験では、配信したチラシの内容とモニターの購買データをひも付けて消費者の購買態度の変化などを調べ、配信に適した広告コンテンツの検証や、システム稼働の安定性などを調査する。ブラザーが事前に実施した聞き込み調査では、新聞折り込みチラシは新聞購読者の減少によりリーチできる世帯数が減少していること、スマホの画面を利用するショッピングアプリには、チラシと比較すると情報が見づらいといった課題が存在していることが分かった。ブラザーは、この実証実験を通じて、印刷技術を活用した新たなビジネスモデルの可能性を模索する。(2023年10月18日)

実証実験に関するプロモーション動画(YouTube)

定番棚に最適化したインストアサイネージを提供

 小売業のDXを支援するフェズとフリークアウト・ホールディングスの共同出資子会社であるストアギークは、独自開発した新型リテールメディアサービス「ストアギークサイネージ」の提供を開始した。小売店舗内の定番棚において通路に対して垂直に電子端末を設置。陳列スペースを狭めることなく、顧客の目線の位置で訴求力の高いコミュニケーション施策を実現する。小売店において消費者の購買行動の約8割が発生しているといわれる定番棚で、顧客が購入する直前に適切な情報を提供することで、購入の意思決定を後押しする。また、フェズが提供する小売りデータ基盤「Urumo」をベースとしたID-POSデータを用いて、サイネージへの広告配信に対する効果検証や購入者の属性分析を可能とする。(2023年10月17日)

イメージ画像(出典:フェズ)

マイクロアドのDSPとSSPが「Privacy Sandbox」に対応(マイクロアド)

 マイクロアドは、同社が提供する広告配信プラットフォーム「UNIVERSE Ads」とメディア企業の広告収益化プラットフォーム「MicroAd COMPASS」が、Googleの「Privacy Sandbox」に対応したと発表した。Privacy SandboxはサードパーティーCookieを使用せずにユーザーのプライバシーに配慮しつつターゲティング広告配信と効果計測をすることが可能なソリューション。GoogleがWebブラウザ「Chrome」でサードパーティーCookieのサポートを終了するまで約1年となった今、Cookieを利用しない広告配信と効果計測を早期に行い、比較検証を行うことで、Post Cookie時代に備えることが可能になる。(10月24日)

売れるネット広告社が東京証券取引所グロース市場へ上場

 売れるネット広告社は東京証券取引所グロース市場へ新規上場(IPO)したと発表した。単品通販とインターネット広告に特化したクラウドサービスおよびマーケティング支援サービスを提供する同社は2010年3月に福岡市で創業。「売れる広告」にこだわり、2600回以上A/Bテストから導き出された“最強の売れるノウハウ”を提供してきた。直近である2023年7月期の決算においては売上高9億5900万円で過去最高を更新。営業利益については一部大手クライアントの売上高減少に加えてオフィス移転等の投資を行った2022年7月期を除き黒字を継続している。(10月23日)

パーソナライズド動画に「next generation video platform」を導入

 大日本印刷(DNP)は同社が提供するパーソナライズド動画サービスにおいて、イスラエル企業のIdomooと協業し、Idomooが提供するパーソナライズ動画生成基盤「next generation video platform」を導入したと発表した。これまでのパーソナライズ動画は、動画テンプレート上にテキストや画像を使って個人データを被せる「オーバーレイ技術」が使われてきた。これに対してnext generation video platformで生成するパーソナライズ動画は、個人データを直接埋め込んだ状態で動画を生成するため、生成後に動画の内容を書き換えられないという特徴がある。これによって情報改ざんのセキュリティリスクを低減できるという。また、属性や条件に応じて自動で動画のシーンを選定し、並び替えられるため、個別のシナリオ動画を高速で生成し、提供できる。さらに、動画内にアンケートやパーソナライズしたWebページへのリンクを設置できるので、生活者の回答やクリックによって動画が切り替わり、顧客の反応を統計データとして収集できる。DNPは既に提供していた顧客コミュニケーション施策と組み合わせ、新たなマーケティング施策を提供し、2025年までに累計25億円の売り上げを目指す。(2023年10月20日)

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