今週は、Molocoのリテールメディアプラットフォーム提供など4つのトピックスを紹介する。
リテールメディアとは文字通り、小売業(リテール)が運営するメディアのこと。オフラインにおいては店舗のデジタルサイネージ、オンラインにおいてはECサイト上の広告が代表的だ。特に後者は膨大なトラフィックを集め、しかもその多くが購買意思を持った人であることから、広告主にとって魅力的な出稿先として注目されている。
今週は、Molocoが日本で提供開始したリテールメディア向け広告ソリューションなど4つのトピックスを紹介する。
機械学習を活用したDSP(広告主向け広告プラットフォーム)などモバイルビジネスの成長を支援するMolocoは、リテールメディア向けソリューション「Moloco リテールメデイアプラットフォーム(以下、RMP)」の提供を日本市場にも拡大すると決定。同部門の日本事業責任者に元CriteoAPACリテールメディア担当マネージングディレクターの藤中太郎氏が就任したと発表した。Amazonなど大規模なオンライン小売業者で実証されている通り、リテールメディアはマーケットプレイスにとっての収益性、商品やサービスを提供する企業(マーチャント)の売り上げ拡大、顧客満足度の向上をもたらす。しかし大半の企業ではパフォーマンスと拡張性に優れたリテールメディア広告ソリューションを自社で開発するのが難しい課題があった。Molocoは2021年にRMPをリリースし、Eコマースを中心とするB2B2Cプラットフォームの広告ビジネスを支援してきた。RMPは高度な機械学習機能を活用することで、セキュリティを維持しつつ、マーケットプレイス独自のファーストパーティデータの価値を生かし、商品の購入に至るまでの消費者行動全体に対して関連性の高いスポンサード広告を自動化する。(2023年9月14日)
プレイドは、広告配信を最適化するサービス「KARTE Signals」に広告ダッシュボード機能「KARTE Signals Dashboard」を追加した。KARTE Signalsは、ユーザー企業が保有するファーストパーティーデータを活用して広告配信を最適化するサービス。広告ダッシュボード機能を追加することで、広告レポートやその効果を可視化できるようにする。具体的には、Google広告やYahoo!広告といった主要広告媒体のレポートを自動で取り込めるようにし、その広告データと店舗などで取得するオフラインデータを統合する。それにより、広告の費用対効果や投資収益率などを、LTV(顧客生涯価値)の視点を取り入れた指標で評価できるようになる。(2023年9月26日)
電通は新聞折り込みチラシの来店効果を可視化し、デジタル広告と同じ指標で比較できるようにするサービス「チラSeeCycle」の提供を開始した。従来、折り込みチラシの効果を検証するソリューションは確立されておらず、マーケティング施策全体の中で最適化が進んでいなかった。チラSeeCycleでは、大規模な位置情報データと統計的な処理により、折り込みチラシへの接触確率を算出する。その確率と人の群単位などのデータを組み合わせることで、来店効果を計測できる。データクリーンルームを用いることで「折り込みチラシの接触判定パネル」と「デジタル広告接触データ」を人の群単位で統合し、折り込みチラシとデジタル広告への生活者の接触有無を推計する機能も実装した。これにより、顧客を1人増やすのにかかる費用(CPA)という一つの指標で来店効果を評価し、折り込みチラシとデジタル広告の予算配分や、投下すべきエリアの最適化を図ることができる。(2023年9月20日)
博報堂DYメディアパートナーズは、Google日本法人のグーグルと共同で、「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」を実践的に活用するためのガイドブックを公開する。同ガイドブックは、マーケターが自社のビジネスの実態に応じてMMMを活用するための方法をまとめたものだ。ガイドブックでは、メディア効果を適切に推定するためのポイントとして、「再注目されている統計的因果推論を用いた妥当なモデル構造を検討する方法」を紹介している。ガイドブックはさらに、そのモデル構造はセールス方法によって類型化可能であること、特定したいメディア効果を識別するためには、因果グラフを利用してモデル構造を工夫することが有効であることを紹介している。MMMとは、広告出稿や売り上げなどのデータを時系列で蓄積し統計学を用いて分析する手法。Cookieを用いることなく、適切に投資対効果を測定できる手法として注目を集めている。(2023年9月22日)
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