生成AIに関するサービスが多数登場する中で、利便性だけでなく、セキュリティやデータガバナンスなど守りの要素を確保できているかが論点として大きくなりつつある。今週はAI4つのトピックを紹介する。
AIに関するサービスが多数登場し、マーケティング領域でのソリューションも増えている。一方、利便性だけでなくセキュリティやデータガバナンスなど、守りの要素を確保できているか否かも、論点として大きくなりつつあるようだ。今週もAI関連トピックスを中心に、気になるニュースを紹介する。
The Trade Deskは、分散人工知能(DAI)や効果計測技術、シームレスなパートナー連携、革新的で直感的なユーザー体験の向上をデジタル広告に取り入れたメディアバイイングプラットフォーム「Kokai」を発表した。デジタルメディアバイイングのさまざまなプロセスにいてディープラーニングアルゴリズムを実装。毎秒1300万件以上の広告インプレッションにアクセスしてそこに含まれるシグナルを高速で理解し、広告主が最適な広告インプレッションを適切な価格で購入し、ベストなタイミングでターゲットオーディエンスにリーチできるように支援する。具体的には、広告運用者が最適な入札を可能にする予測クリアリングや、広告主との関連性に基づいた広告インプレッションのスコアリング、効果計測とフォーキャスティング(予測)機能のアップグレード、識別子(ID)がない環境におけるレジリエンス(回復力)の向上、予算の最適化およびKPIスコアリングなどを可能にする。なお、Kokaiの名は、どの国や企業も公平にビジネスができる海域を指す日本語の「公海」に由来する。(2023年6月19日)
Oracleは、世界の企業向けに生成AIサービスを実装するためのシステム環境を開発すると発表した。AI基盤大手企業Cohereと連携し、オラクルのパブリッククラウドサービスである「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)にサービスを実装する。生成AIサービスを利用することによる情報漏えいを防止するためのデータセキュリティ、プライバシー保護、ガバナンスを確保した上で、ビジネスプロセス全体を自動化する。生成AIモデルのトレーニング、構築、デプロイはCohereが実施する。サービス利用企業は、パブリッククラウドの利点を活用し、オンデマンドで生成AIソリューションを拡張し、モデルをカスタマイズし、事業用の独自モデルを作成できるという。(2023年6月14日)
CARTA COMMUNICATIONS(CCI)は、Cookieレスに対応したデータマーケティングサービス「Data Dig」において、企業が保有するファーストパーティデータを他企業とのデータコラボレーションで補完し、マーケティング施策を推進する独自のデータクリーンルームサービス「Syncly(シンクリー)」の提供を開始した。データクリーンルームは顧客解像度の向上を可能とするマーケティング施策特化型サービス。Synclyにおいては、データクリーンルームの導入支援やカスタマーサポートに加えて、広告のプランニングやマーケティングの支援までを一気通貫で実施する。SynclyはOptable Technologiesのソリューションを採用し、暗号化技術を用いたプライバシー保護を実現している。(2023年6月20日)
電通、電通デジタル、電通プロモーションプラスは、3社共同でEC専門チーム「dentsu EC growth」を発足した。EC事業の段階に合わせた購買体験を設計、施策を実施することで、利用企業のEC事業の伸び悩みを解決し、継続的な成長を支援する。背景には、ECブランドにおける立ち上げ時期の購入者と、興隆期の購入者では顧客群やユーザー意識が変わることがある。各ステージにいる顧客に合わせたコンタクトポイント、メッセージ、メディアプランなど効果的な購買体験を設計することで、既存ユーザーに商品を長く使い続けてもらう、あるいは新たなユーザーを集めるといった取り組みを可能にする。(2023年6月14日)
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