天気に合わせた広告配信 「weathermarketing.net」が目指す広告体験向上のためのデータ活用ルグラン泉浩人氏に聞く

脱サードパーティーCookieの流れが進む中、広告の「出し分け」があらためて課題になっている。そうした中、気象データの活用というアプローチを取るサービスが登場した。

» 2021年08月13日 08時00分 公開
[野本纏花ITmedia]
ルグラン代表取締役 共同CEOの泉浩人氏

 気象データを基に天気や気温の変化に合わせたコーディネートを提案する「TNQL(テンキュール)」を2017年より提供してきたルグランが、新たなサービスをローンチした。天気に合わせた広告配信を実現する「weathermarketing.net」だ。

 世界的に脱サードパーティーCookieの流れが進む中、その代替となるターゲティング手法に頭を悩ませている広告主は多いだろう。位置情報と気象データを掛け合わせてセグメントを絞るweathermarketing.netは有望な選択肢と言えそうだ。サービスの内容とこれを今提供する意義について、ルグラン代表取締役共同CEOの泉浩人氏に話を聞いた。

気象データを活用した運用型広告

 TNQLは「ファッションテック」として価値訴求してきたサービスだが、天気というコンテクストに合わせたレコメンデーションのロジックは応用範囲が広い。そこでルグランはこの仕組みをAPI化し、三越伊勢丹が運営する伊勢丹オンラインストア内のメンズページに実装。天気に合ったフレグランスをレコメンドするサービスを実現した。一方で2020年10月には「気象連動型デジタルサイネージ」をリリースし、ららぽーとTOKYO-BAY(三井ショッピングパークが運営)において、翌日の天気に連動したおすすめアイテムやショップ案内なども行ってきた(関連記事:「『ファッションテック』から『3密回避』まで データによる価値創造と課題解決の考え方」)。

 購買活動につなげる用途として、TNQLの仕組みをデジタル広告に使うのは真っ先に思い付くところではあったが、実際そこにどれほどニーズがあるのかは分からなかった。また、すでに類似サービスも存在する。

 しかし、リサーチの結果、気象データを活用した既存の広告サービスはあくまでも媒体ごとに提供されており、媒体横断で広告配信できるものは見つからなかった。各媒体に合わせてクリエイティブを用意するのは、費用対効果から見て効率が悪い。そこで「メジャーな広告プラットフォームで一括配信できるようにすれば、需要はあるのではないか」(泉氏)と考え、ネット広告媒体費の7割を占めるGoogle(検索・ディスプレイ)とFacebook、Instagram広告に気象データを連携させる形でweathermarketing.netは生まれた。

 weathermarketing.netで配信条件設定に使える気象条件は次の8つとなっている。

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