「幸福度」を起点に顧客と長期的で親密な関係を構築し、経済的価値だけでなく社会的価値、SDGsを実現するための新しいマーケティングコンセプトについて解説します。
「幸福」に対して世の中が真剣に向き合いつつある。
例えば、2021年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のテーマは「グレート・リセット(The Great Reset)」だ。世界経済フォーラム創設者であり現在も会長を務めるクラウス・シュワブ氏は、「人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきだ」とコメントしている。要はグレート・リセットとは、幸福中心社会への転換であることを示唆している。
国内でも幸福という観点をビジネスに適用する動きが出始めている。2018年に積水ハウスは「住めば住むほど幸せ住まい」を標ぼうした「住生活研究所」を設立した。2019年にはパナソニックが幸福追求の新組織である「Aug Lab」を設立し、2020年7月には日立製作所が新会社「ハピネスプラネット」を設立した。
「幸福」が世界的アジェンダになりつつある中、私がリードするPwCコンサルティングのデータドリブンマーケティングチームは2020年12月24日、日本における幸福学研究の第一人者である前野隆司氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)と共同実施した「全国消費者実態・幸福度調査2020」(外部リンク)を公開した。同時に、「幸福度」を起点とした「幸福度マーケティング」サービスを開始したことを発表している。
本論考ではこの幸福度マーケティングについて、2回に分けて紹介する。また、本論考を受けて前野氏と私の対談記事の掲載も予定している。
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