ジェンダーギャップ指数153カ国中121位の日本で生まれたFemTechブランド「Nagi」ダイレクトな人々 第5回(1/2 ページ)

話題のD2Cブランドとそこで生まれるコミュニケーション、ブランドの仕掛け人の思想について考察するこの連載。第5回は吸水ショーツをリリースしたFemTechブランド「Nagi」と販売元であるBLASTで代表取締役を務める石井リナさんを取り上げます。

» 2021年02月19日 08時00分 公開
[池田園子プレスラボ]

 女性の健康にまつわる課題をテクノロジーの力で解決しようというFemTech(フェムテック:Female Technology)の領域が注目されている。第5回で取り上げるのは、FemTechブランド「Nagi」を立ち上げ、ブランド唯一の商品である吸水ショーツを展開する、BLAST代表取締役の石井リナさんだ。

女性の選択肢を増やしたい

石井リナさん

 石井さんは大学卒業後、デジタル系の広告代理店に就職してデジタル広告の運用や、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング活動を支援していた。それからベンチャー企業に転職し、マーケター向けオウンドメディアの立ち上げと運営に従事した。

 独立のきっかけは2017年のことだ。この年、男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」調査で日本は世界144カ国中114位となり、過去最低だった111位(2016年)をさらに下回った(ちなみに2020年の順位は153カ国中121位と、またも後退している)。このデータに直面した石井さんは、日本の女性たちが構造的差別の下で生きていることに問題意識を持つようになった。そして2018年に1月に起業。同年3月、女性向けエンパワーメントメディア「BLAST(ブラスト)」を立ち上げた。

 BLASTでは社会問題からセックスまで幅広いコンテンツを発信し、InstagramやTwitterなどのSNSも活用しつつ、動画を中心としたコミュニケーションを展開してきた。しかし、2020年5月には新規記事更新をストップ。一方でNagiをローンチしてブランド第1弾の商品として吸水ショーツを公式オンラインストアにて販売開始した。

 起業した当初から石井さんには、メディアだけでなく他の手段も通じてより一層女性のライフスタイルに寄り添いたいという思いがあった。その気持ちはやがて、女性の課題を物理的にサポートできるプロダクトを作りたいという具体的な目標へと進化していった。

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