企業のCX(カスタマーエクスペリエンス)担当者はCXプログラムの実施に当たりどのようにその価値を提示すべきか。またステークホルダーとの関わり方はどうあるべきか。CX領域のエキスパートが解説する。
昨今、顧客本位経営への変革を加速させたいという企業が増えている。しかし、理想と現実には大きなギャップがある。調査会社Forrester Researchの統計によれば、84%の企業がCX(カスタマーエクスペリエンス)分野におけるリーディングカンパニーとなることを目標にしているが実際に優れたCXを提供できるのは5社中1社にすぎない。
オンラインアンケートを軸にしたXM(エクスペリエンスマネジメント)プラットフォームを提供するQualtricsの日本法人クアルトリクスでCX領域を担当する久崎智子氏は、CX推進がうまくいかない企業には一定の傾向があると語る。果たして何が社内でのCX推進を阻んでいるのか、うまくいくためにはどうすればいいのか。担当者が押さえておくべき重要なポイントを久崎氏が解説する。
CXは本来、浸透し定着することで企業の具体的な行動になってあらわれるべきものです。最近の報道の中では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で亡くなった人に「災害割増特約」の適用を認めた生命保険各社の取り組みや、医療や介護の分野限定で社員の兼業を認めた日本航空社の発表などがCXの好例ではないでしょうか。顧客のニーズに迅速に応え、社会貢献のために柔軟な決断をした企業と従業員の姿勢は、心に伝わるものがあります。
とはいえ、顧客本位経営はそう簡単には実現できないのも事実です。私もよくCX推進がうまくいかないと悩む担当者からご相談をいただきますが、以下3点が課題となることが多いようです。
今回はこの3点をベースに、CX推進に当たって重要なポイントや進め方のコツを解説していきます。
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