媒体の種別でみると動画広告が飛躍的に伸長しており、取引手法では運用型広告が全体の約80%を占めるに至りました。
電通が2020年3月11日に発表した「2019年 日本の広告費」の調査結果によると、2019年における日本の広告費は総額6兆9381億円。インターネット広告費はその30.3%に相当する2兆1048億円(前年比119.7%)でした(関連記事:電通『2019年 日本の広告費』 インターネット広告費が初の2兆円超えでテレビを逆転)。インターネット広告費から「インターネット広告制作費」および「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は1兆6630億円(前年比114.8%)です。
D2C、サイバー・コミュニケーションズ(CCI)、電通、電通デジタルの電通グループ4社は、このインターネット広告媒体費の内訳を広告種別、取引手法別などの切り口で分析し、さらに2020年の予測を加えて「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表しました。分析のポイントは以下の4点です。
インターネット広告媒体費の広告種別構成比は検索連動型広告(40.2%)とディスプレイ広告(33.3%)で7割を超えますが、ビデオ(動画)広告が前年比157.1%の3184億円と大きく伸長し、全体の19.1%となっりました。以下、成果報酬型広告(6.3%)、その他のインターネット広告(1.0%)と続きます。
インターネット広告媒体費の取引手法別構成比を見ると、現在の主流となっている運用型広告(検索連動型広告およびデジタルプラットフォームやアドネットワークを通じて入札方式で取引されるもの)は1兆3267億円で、インターネット広告媒体費全体の79.8%を占め、純広告やタイアップ広告など非入札方式(固定価格)で取引される予約型広告(同13.9%)や成果報酬型広告(同6.3%)を大きく上回りました。成長率は運用型広告が前年比115.2%、予約型広告も同117.4%で、いずれも2桁の伸びを見せています。
取引手法別×広告種別で分析すると、運用型の検索連動型広告が全体の40.2%と最も構成比が大きく、運用型のディスプレイ広告が24.2%でそれに続きました。なお、ディスプレイ広告は前年比で見ると運用型・予約型共に微減となる一方で、ビデオ(動画)広告は運用型(前年比145.1%)も予約型(同229.4%)も伸長しています。
ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告に注目すると、前年比126.0%の4899億円と高い成長率で推移し、インターネット広告媒体費全体の29.5%を占めていることが分かります。また、ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が2280億円で最も規模が大きく、「その他」1480億円、「動画共有系」1139億円でした。
2020年のインターネット広告媒体費予測は前年比111.0%の1兆8459億円。近年と比較し成長率がやや緩やかになるものの引き続き成長が続き、動画広告に関しては前年比113.0%と伸長し、3597億円まで拡大する見込みです。
1〜3のポイントそれぞれに関わるところを想像すると、市場をけん引する幾つかの有力な媒体の名前が浮かんできます。動画を軸にインターネット広告の世界が今後どう発展するのか、引き続き見守っていきましょう。
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