エンジニア出身マーケターが「マーケティングファースト」を推進――アイ・エス・アイソフトウェアーMAツール活用最前線(2/2 ページ)

» 2020年03月17日 12時00分 公開
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マーケティング部が主導するセールス体制の構築

――御社の場合、マーケティング部が各事業部のマーケティングを全て担当しているのでしょうか。

前田氏 現在はそれぞれの製品やサービスを担当している部ごとにマーケティング担当を配置し、それをマーケティング部の方で取りまとめている形になります。定期的にミーティングをおこないながら、いろいろな改善を図っていますが、まだまだ十分にワークしているとは言い難いですので、今後はマーケティング会議を全社レベルの位置付けに昇格させる予定です。当社としてはマーケティングはそれだけ重要に考えていまして、ここはしっかりとやっていかなくてはいけない点だと思っています。

――MAツールを使った失敗事例として多いのが、リードを獲得する部隊、インサイドセールスを仕掛ける部隊といったように、部門を縦で切りすぎて、セールス部隊にたどり着く頃にはリードの質がひどく悪くなってしまうということが多いのですが、御社はMAツールを活用されるに当たり、その辺はどうお考えでしょうか。

前田氏 他社の場合、営業部とマーケティング部では営業部の方が力が強いことが多いと思いますが、当社の場合は逆にマーケティング部の力が強いのが特徴なので、そういった失敗は回避できています。当社では営業部がマーケティング部に「リードの質が悪い」とクレームを上げるのではなく、マーケティング部が営業部に「早く電話してください」とクレームを上げるくらいですので。

――一般的には顧客に近い営業部の方が発言力が強くなる傾向にあると思いますが、それは珍しいですね。

前田氏 問い合わせが来たときは、まずマーケティング部として会見が問い合わせ内容から選別して、すぐに電話をかけていきます。いわゆるインサイドセールス的な動きですね。そこから得た情報を基に、マーケティング部の方で営業部への顧客の振り分けを行います。この流れは狙ってできたわけではなく、自然と作られていったのですが、そのおかげで先ほどおっしゃられていたような失敗は発生していないと思っています。

エンジニア出身者がマーケターに転身するメリット

――よく「どういった人をアサインしたらマーケティングがうまく回りますか」と質問を受けるのですが、お二人はこの辺りどうお考えでしょうか。

前田氏 まず好奇心がある人。そして先輩たちに対しても物怖じしない人でしょうか。マーケティングはモノを売る一番の始まりですので、そこからゴールをイメージできるかは重要だと思っています。当社の例でいうと、会見のようにエンジニアとしてモノを売ることのゴールを見てきた人間をアサインすることで、スタートからゴールまでのイメージがつきやすくなりますから、これは正解だったのではないかと思います。あと、これは完全に後付けですが、会見はプログラミングができますので、自分が考えたマーケティング施策をそのままWebサイトで表現できるのは大きなポイントだと思います。さまざまな施策を内部で作ることができるのは、スピードも費用的にも大きなメリットです。逆に、マーケティング経験はあまり重要ではないと思います。

会見氏 2タイプの人間がいると部署としてうまくワークすると思います。一人は真面目でコツコツとやっていく人。そしてもう一人は効率化を図って生産性を上げていく人。この組み合わせがペアになっていると良いのではないでしょうか。私自身が手を抜きながらやってしまうタイプですので(笑)、しっかりと正確に業務を遂行していくタイプの人に支えてもらえると非常にありがたいです。逆に、私のような人間が、愚直にやりすぎている人にアドバイスすることもできると思いますし、そういった組織だといろいろなことにトライできそうですよね。効率化を求めた結果マーケティングには泥臭い仕事が増えていると思っています。ですから、泥臭くできる人と効率化を図っていく人のペアが一番相性が良いのではないかと最近特に感じています。

「マーケティングファースト」を社内に浸透させる

――次に、現在のHubSpotを使ったコンテンツ作りについて教えていただけますでしょうか。

会見氏 最初は特に苦労しました。というのも、コンテンツとなるものが社内に全くなかったのです。普通は営業資料などをコンテンツ化するところから始まると思うのですが、エンドユーザーに対して営業というものを全くしてこなかった会社ですので、営業資料すらなかったのです。提案資料なども全くなかったので、必至で各ソリューションの案内資料を作りました。最初は「Webサイトのコンテンツを作りましょう」と営業部にも言っていたのですが、最近は「営業で使える資料を作りましょう。それをWebサイトでも公開しましょう」という形に変えました。こうすることで、営業部の動きも非常に良くなりました。

前田氏 コンテンツ作りはなかなかシンドイですよね(笑)。例えばブログを現場の人間に書かせているのですが、忙し過ぎて更新が止まってしまう。ならば外部の方にお願いしようとなると、取り扱っている商材が難しいこともあり、ギブアップされてしまったこともありました。現在はGRANDITを導入いただいたお客さまを回って、事例紹介を多く掲載することで、Webサイトのコンテンツを整備するようにしています。Webサイトのコンテンツは、個人的にはあまり真面目過ぎず、少し遊び心が入ったくらいのコンテンツが良いのではないかと思いますが(笑)。ただ現在はコンテンツ作りは絶対に内製でいこうと決めています。

――現在抱えていらっしゃる課題を教えてください。

前田氏 年2回の全社会議では「マーケティングファースト」という話を必ずしているのですが、当社はエンジニアばかりなこともあり、マーケティングというものがどういうものか、全社的に伝わっていないのが課題です。しかし、スタートしてから現在まで問い合わせ件数は6倍以上に増えており、中には「こんな会社から問い合わせが来るのか」と驚くようなものもあります。そういった事例が多くなってくるとマーケティングの重要性を実感してくれるはずです。ただ、商材が商材なだけに、まだまだ直帰率も高い。ですからこの辺りはWebサイトのコンテンツを含め、改善していかなくてはいけないと考えています。また、社内でマーケティングの重要性を言い続けることで、マーケティング部と営業部がうまくワークするような仕組み作りを続けていく必要もあると考えています。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

聞き手:草皆直人(24-7 COO) 執筆:佐藤昭平

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