エンジニア出身マーケターが「マーケティングファースト」を推進――アイ・エス・アイソフトウェアーMAツール活用最前線(1/2 ページ)

専門性が高く高額で売るのが難しい商材を売るためにMA(マーケティングオートメーション)を導入したアイ・エス・アイソフトウェアーに、現在の仕組みを構築するまでの話を聞きました。

» 2020年03月17日 12時00分 公開
[24-7]
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(このコンテンツは24-7ブログ「IM7」の掲載記事を一部再編集の上転載したものです)

 MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入が増えていますが、既に導入している企業はどのように活用しているのでしょうか。

 このシリーズでは、MAツールを活用している企業のご担当者に導入の理由や運用方法、成果などについてお話をうかがっています。

 今回は、統合基幹システム「GRANDIT」など多くのソリューションを取り扱い企業のシステム構築を手掛けるアイ・エス・アイソフトウェアーに、同社のマーケティングに対する考え方やMAツールの活用について聞きました。

 代表取締役である前田丈彰氏自らがマーケティング部を立ち上げ、そこからどのような経緯で現在の仕組みを構築してきたのか。非常に興味深い話が聞けたので、早速お届けしたいと思います。

アイ・エス・アイソフトウェアー 代表取締役 前田丈彰氏(左)、同マーケティング部 会見卓矢氏(右)

営業課題を解決するためにMAツールを導入

――御社がMAツールを導入されたきっかけを教えてください。

前田氏 当社の場合は、まさに24-7さんとの出会いがきっかけですよね。2014年だったと思いますが、当時は執行役員としてERPのGRANDITを担当していたときに、GRANDITのような高額な商材をMAツールを使って販売したいという相談をさせてもらいました。実は、それ以前に2人ほど中途採用で営業担当を採用したのですが、これがうまくワークしなかったためです。

――どういった辺りでつまづいたのでしょうか。

前田氏 パッケージ売りをしている営業をキャリア採用してソリューション営業をさせたのですが、GRANDITは基幹システムですので知識的な部分を含めて難しかったのです。提案先の取締役や執行役員にお話ししても、基幹システムというのはその方だけの権限で採用できるものではなく、うまくクロージングが進まなかったのです。当時は、「正直これはシンドイな」と思いましたね。そこで、営業を雇うのではなく社内にいる基幹システムの知識があるエンジニアを営業にした方が良いのではないかと考えました。ただ、エンジニア営業的な動きをすることはできません。そこで、MAツールが使えないかと考えました。その際に24-7さんから紹介いただいたのが「HubSpot」で、2015年に導入をしました。

――当時はすぐに導入するのではなく、先に課題を解決する必要がありました。

前田氏 確かに幾つか課題がありましたね。まず、当社にはマーケティングの専門家がいませんでした。また、導入するに当たって、社内稟議をどう通そうか悩みました。当社はITを取り扱う企業ではあるものの、いわゆるB2Bの基幹システム系でしたので、MAツールのようなものへの理解が全くない状態でした。いわゆるマーケティング施策でリードを獲得して、ナーチャリングして、顧客を育てていくという発想がなかったのです。その考えをどう理解してもらうかという点も大きな課題でした。

――社内の理解をどのように得ていったのでしょうか。

前田氏 実は当時、執行役員として好き勝手にやらせてもらっていまして(笑)、担当していたGRANDIT以外の製品でも、プライム顧客をしっかりと獲得していこうという話になっていたので、勝手に新しい事業部を作って、その下に関連性のある製品の部署を配置してしまいました。その後、先ほどお話したように、営業がうまくいかなくなってしまったので、MAツールを導入するためにどう稟議を通そうか悩んでいたところ、私が新しく代表取締役を拝命することになったのです。「これならば私のはんこだけで導入できる」と気づいてしまい(笑)、一気にHubSpotを導入するように進めていきました。

B2Bマーケティングの部署をゼロから作り上げる

――社内ではHubSpotへの理解は順調に進みましたか。

前田氏 これも苦労しました。そもそも他の業務もやりながらHubSpotの導入も進めましたのでなかなか進まない。やはり現場の仕事が優先されてしまうのと、当時はマーケティング部という組織そのものがなかったのも、導入が進まなかった原因のひとつだと考え、マーケティング部を新設しました。ただ、新しくマーケターを雇うよりは、自社の製品を理解している人をマーケターにした方が良いと考え、その時に会見に声をかけました。

会見氏 当時、私はまだ入社4年目で、まさにこれからエンジニアとしてやっていこうと思っていた直後でした(笑)。一人マーケティング部として活動を始めたのですが、ちょうど子どもが生まれるタイミングだったのでよく覚えています。

――MAツールは導入したあとのシナリオ設定などが重要ですが、知見はもともとあったのですか。

前田氏 実は彼がエンジニアをやっていた頃は、直接一緒に仕事をしたことはなかったのです。しかし、社内での彼の評価や、彼が担当していたクライアントからのお話を聞いて、彼にお願いすることにしました。ゼロベースで新しい仕組みを作っていく面白さを感じてくれればいいなとは思っていましたが、その当時は彼がどう感じてくれていたかまでは分からなかったですね(笑)。ですので、私の直下において、他の部署からの介入は遮断する形で、思い切りやれる環境を作るようにしました。

――会見さんはエンジニアとしてキャリアをスタートする中で、マーケターとしての業務を担当するようになられたわけですが、その辺りをご自身ではどのように感じていらっしゃいますか。

会見氏 自分としてはエンジニアでずっとキャリアを形成していくと思っていましたので、当時は違和感がありましたが、逆にマーケティングを学ぶことでマルチなタレントになれるのならば、それはそれでメリットも大きいのではないかとも考えました。当時、エンジニアとしての基礎は身に付いていましたので、スキルは自分自身で磨いていけると思っていました。そういった意味で、新しい領域に飛び込むのも良いことなのではないかと思いましたね。

――2015年にHubSpotを導入されたというのは、業界の中でも比較的早いタイミングだという印象なのですが、どの辺りでMAというツールの情報をキャッチアップされたのでしょうか。

前田氏 その頃、とある経営コンサルティングの会社に手伝ってもらっていたのですが、その会社からの紹介でHubSpotやMAツールというものを知りました。よくよく調べてみるとCMSとしての機能もあり、「これは面白そうだ」と直感的に感じ、導入を決めました。その頃は、プライム顧客の獲得をしていくために、しっかりとブランディングを考えていかなければいけないと思っていました。ただ、ブランディングをやっていくにしても、テレビCMや新聞広告を打てるほどの余裕はなかったので、Web広告に注力していくことにしました。ところが当時は自社サイトの作りがひどかったので、まずはそこから改善を図っていく必要がありました。当時はそれらの改善で「効果が出るかどうか」なんて考えず、「効果を出していかなければならない」と結構必至でしたね。

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