企業向けLINEアカウントサービスの内容が刷新された。新たなLINE公式アカウントの特性をどうビジネスに生かしていくのか。LINEのビジネス活用の専門家が解説する。
LINE公式アカウントのサービス体系が変わり、参入障壁が下がったことで、今後はこれまでLINEへの参入を見合わせていた企業もアカウントを作る動きを活発化させるでしょう。
それは同時に、企業間の競争が厳しくなることも意味します。というのも企業アカウントが増えたからといって、一人のユーザーが友だちになるアカウント数が同様に増えるとは考えづらいからです。ユーザーは、つながるアカウントをより慎重に選ぶようになるでしょう。ユーザーの興味関心に合わないアカウントがブロックされる可能性も高まります。
LINEを通じてユーザーとつながり続けるためには、企業は誰にどういう訴求をするのか、誰がどういったメリットを受けられるのかといったアカウントの目的を明確にし、ユーザーにしっかりと伝えていくことが求められるようになります。
後編は、顧客との関係構築におけるLINEの活用をテーマにお届けします。
ビジネスコミュニケーションのプラットフォームとして、意識すべきLINEの特徴は2つあります。
1つは前編で解説したようにセグメント配信によって友だちの情報に基づいたコミュニケーションができること。そしてもう1つが、顧客の利便性や心理に寄り添ったサービスや仕組みを独自に開発できることです。
例えば、みずほ銀行のLINE公式アカウントでは、同行に口座を持っているユーザーが専用スタンプを送信することで残高照会ができるようにしています。また、航空会社のエア・ドゥでは、航空券を購入したユーザーが予約内容の照会からチェックインまで全てLINEでできるようなサービスを提供しています。
こうしたサービスは長期的に使ってもらいたいという思いがあればこそ用意できるものであり、多くのユーザーにとって最も身近なコミュニケーションプラットフォームであるLINEだからこそ、それができるものと考えています。
FacebookやTwitterにはないこれらの特徴を踏まえ、顧客との関係を強固にするために提案したいのが「つながり続けるLINE戦略」です。
あらゆる商品やサービスがコモディティ化している現在、品質や価格の差別化だけで生き残ることは難しくなっています。顧客と長期的に関係性を築き、リピーターを育てていくことの重要性は増すばかりです。
顧客と長くつながり続ける関係性をLINE上でいかに作るか。私たちは以下の2ステップで考えています。
最終的な目的はStep2の継続的に購入し続けてもらうということであるため、Step1においてもStep2を見据えた上で考えることが重要です。1回買ってもらうことだけをゴールに置き、顧客とコミュニケーションを取ろうという企業はないはずだからです。
2つのステップは、それぞれさらに3つずつ、計6つのアプローチに分解できます。
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