「スマホファースト」から「ボイスファースト」へマーケターのためのスマートスピーカー入門(1/2 ページ)

スマートスピーカーで何ができるのか。これからのマーケターが押さえておくべきポイントを解説します。

» 2018年11月26日 06時00分 公開
[岩屋雄介アイリッジ]

 日本で初めてスマートスピーカーが発売されてから約1年がたちました。トレンドに敏感なマーケターの皆さんの中には既に「Amazon Echo」や「Google Home」「LINE Clova」などのいずれか、あるいは全てを使っている方もいるでしょう。

 一般的にもスマートスピーカーの国内普及率は高く、アクセンチュアが発表した「2018年デジタル意識調査」の結果を見ても、スマートスピーカーの普及率は2017年末で既に8%となっています。2018年中にはこれが16%に達すると見込まれており、スマートフォン(スマホ)の発売当時と比較して3倍早い普及スピードです。マーケターにとって、今後スマートスピーカーは無視できない重要なタッチポイントになることが予想されます。

 スマートスピーカーは、スマホと同様にアプリの追加によってさまざまな機能を拡張できます。ボイスファースト時代のマーケターには、それにより何ができるのか、どんなコンテンツとの親和性が高いのかを理解することが求められるでしょう。

VUIの必然性

 スマートスピーカーはVUI(Voice User Interface:音声インタフェース)の対話式デバイスです。自然な言葉で話しかけることで、内蔵されたAI音声アシスタントが対応してくれます。AI音声アシスタントとは、Amazonなら「Alexa」、Googleなら「Googleアシスタント」、LINEなら「Clova」がそれに当たり、それぞれ、「アレクサ」「OKグーグル」「ねえクローバ」といったウェイクワードで起動させるようになっています。

 インターネットの利用は、コマンドを打ち込んでPCを動かすCUI(Character User Interface)から始まりました。その後ボタンや入力エリアなど画面の案内に従いキーボードやマウスで操作していくGUI(Graphical User Interface)が出てきたことで、多くの人が使えるものになりました。このGUIはスマホの誕生とともにタッチパネル式に進化し、さらに広く使われるようになっています。

 しかし、ここで一つ問題が出てきました。スマホの画面はとても小さく、機能が増えてコンテンツ構造が複雑になるほど、使いたい機能へたどり着くまでに多くの操作と画面遷移が必要になるのです。

 これを解決できるのがVUIです。以下の例を見ていただくと、同じ機能を呼び出そうと思ったときに、VUIではGUIに比べ非常に少ないステップで実現できることが分かります。

VUIはGUIより少ないステップで同じ機能を呼び出せる

 GUIをVUIに置き換えるメリットとして、両手がふさがっていても使えることも大きいでしょう。声が届けばデバイスが手元になくても操作ができるVUIの利便性から、先述のアクセンチュアの調査では、スマートスピーカーを購入したユーザーの約70%以上が、スマホを使う頻度が減ったと回答しているそうです。

 では、ユーザーはスマートスピーカーを何に使っているのでしょうか。

 直近では2018年9月にAmazon Echoがコミュニケーション機能を追加し、連絡先に登録された相手に音声通話をかけたり、Amazon Echo端末同士で呼び出して会話したりできるようになりました。この他、いずれのメーカーでも提供され利用されている機能としては「リビングで音楽を聴く」「キッチンでタイマーをかける」「カレンダーと連携して今日の予定を確認する」「天気やニュースを聞く」「調べ物をする」「家電を操作する」などが挙げられます。

 これらの機能は、タイマーやリマインダーなど一部を除いて、スマホと同じくサードパーティー製アプリを開発し、専用ストアで公開することができます。

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