Adobe Systems 会長・社長・CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏が「Adobe Summit 2018」の基調講演で語った同社のエクスペリエンスビジネスの概要を紹介する。
米国時間2018年3月26日から29日の4日間、Adobe Systems(以下、Adobe)はマーケター向け年次カンファレンス「Adobe Summit 2018」を米国ラスベガスにて開催した。2018年のテーマとして掲げられたのは、前年に引き続き「Make Experience Your Business(エクスペリエンスビジネスの創造)」であった。2016年から継続するというAdobeのビジネス戦略における「エクスペリエンス(体験)推し」は、消費者と企業の競争戦略がデジタルで変化したことを踏まえたものだ。
「以前は競争優位の源泉が製品や価格にあったが、今や体験が企業戦略における最大の差別化要素に変化した」
基調講演の冒頭、Adobe会長・社長・CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏はそう語った。
買い物やコーヒーを飲むとき、あるいは銀行取引など、体験は生活のあらゆるところにある。だから、どんなデバイスからでも、どのチャネルからでも、顧客に一貫性のある体験を提供する方法を考えなければならないというのだ。
ナラヤン氏は、エクスペリエンスビジネスに必要な要素として、以下の3つを挙げる。
デザインは単なる見栄えの問題ではない。顧客とのエンゲージメントは素晴らしいデザインから始まる。印刷物だけでなく、Webやモバイルアプリ、AR/VR、音声、タッチスクリーンなどさまざまなメディアが顧客体験に関わる。技術的な進歩でデザインの可能性は広がった。だからこそ、直感的な体験を作り出すためにデザインは競争力になり得る。
素晴らしい体験を用意するには、データインテリジェンスが不可欠である。人の行動におけるコンテクストの理解はデータから始まる。データインテリジェンスに加えて、コンテンツインテリジェンスも重要だ。大量にコンテンツを制作し、ニーズの異なる顧客それぞれにパーソナライズして提供しなくてはならないからだ。データとコンテンツは体験で差別化するビジネスの根幹にある。
体験の提供に求められるスピードは秒単位のリアルタイム性であり、週単位や月単位ではない。問題は企業のアプリケーションアーキテクチャが、求められる性能や要件を満たしていないことにある。どんなチャネルからでも一貫性のある顧客体験を提供するには、組織やプロセスだけでなくシステムのサイロを解消する必要もある。
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