Adobe Analyticsの「異常値検出」と「貢献度分析」で脱“勘と経験”、Web解析はこう変わる【連載】「Adobe Analytics」を使いこなす 最終回(1/2 ページ)

最終回となる今回は「Adobe Analytics」の重要機能である「異常値検出」と「貢献度分析」をどのように活用すべきかを解説する。

» 2018年01月31日 05時00分 公開
[清水誠, 大内紘平パーソルプロセス&テクノロジー]

 Webサイトへの訪問回数が予期せず急増した週があり、デバイスや流入チャネルなどのディメンションでクロス集計を繰り返した結果、その週に開催されたイベントに興味を持った人がWebサイトを訪れていたことをようやく突き止めることができた――というようなことを、多くの人が経験しているだろう。

 Webサイト解析において、普段見ているKPIの大きな変動はもちろん、小さな変化まで素早く確実に検出し、何が原因なのかを簡単に知りたいと思うことは多いのではないだろうか。

「異常値検出」と「貢献度分析」がアナリストの役割を変える

 「Adobe Analytics」には、統計理論を活用した「異常値検出」や「貢献度分析」といった機能が実装されているが、うまく活用できていない人も多い。今回は、アナリストの役割が変わるほどの大きな可能性を秘めているこの機能をどのように活用すべきかを解説する。

異常値検出

 異常値検出は、統計処理をして算出した時系列データの傾向から、予想される範囲を超えた値を「異常値」として表示する機能だ。ページビューや訪問者、コンバージョン数といった合計値のデータを単純に日次で見ると、ジグザグに波打つことが多く、注目すべき変化を見つけづらい。異常値検出機能は統計処理を行うため、曜日や月末などのトレンドや誤差などのばらつき、数値の変化幅の大きさに惑わされず、意味のある変化だけを検出できる。さらに、複数の指標(訪問回数とバウンスなど)の異常値が同時に発生しているなどの関連性も見いだすことができる。

貢献度分析

 貢献度分析は、予期せぬ顧客の行動や範囲外の値、特定セグメントにおける特定指標の突然の上昇や下降など、異常値に影響を与える要因を特定し、データ内の隠れたパターンを発見する機能だ(注)。

注:Adobe Analyticsの契約内容によっては一部の機能が制限されるため、利用に当たっては社内の管理者に確認が必要。

 従来の分析手法といえば、まずトレンドデータから目視で異常値を発見して、その要因を経験や知見を基に1つ1つ深掘り分析する方法が一般的だ。しかし、目視で異常値を発見していく場合は、幾つかの問題が生じる。

 1つ目は工数の負担だ。目視での確認に加え、仮説を立てながらの深掘り分析を繰り返すことになるため、多くの工数がかかってしまう。2つ目は結論に個人差が出てしまうことだ。作業や解釈が属人的になりがちで、人によっては異常値に気付かなかったり、原因が特定できなかったり、数値のばらつきを変化と誤解したりしてしまうことがある。

 このような問題を解消するために、Adobe Analyticsに実装されたのが、異常値検出と貢献度分析なのである。

 ただし、このような機能を使ったとしても、答えが自動で見つかるというわけではない。異常値検出と貢献度分析は、変化や要因の候補を洗い出してくれるものと捉えた方がよい。データを見て解釈し、仮説を立てた上で深掘り分析をする必要がある点は以前と変わらないが、アナリストが単純作業から解放され、頭を使う分析に集中できるようになったということだろう。

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