リニューアルして“爆速”となったと話題の「日経電子版」のモバイル版Webサイト。その舞台裏を支える開発チームに話を聞いた。
日本経済新聞の「日経電子版」が2017年11月6日、7年ぶりの大リニューアルを行った。今回のリニューアルで話題になったのが「表示速度の改善」。モバイルでの読み込みスピードが飛躍的に速くなった。もちろん、同サイトはこれまでもモバイルファーストを意識しており、従来サイトが表示速度において遅かったわけではなかった。では、開発チームはなぜさらなる高速化を目指したのか。具体的にどういうアプローチで高速化を果たしたのか。そして、彼らの見つめる次のステージの戦略とは何かを尋ねてみた。
インターネットにおけるビジネス展開という視点でいえば、多くのマスメディアは後れを取った。そんな中で例外が日本経済新聞社だ。デジタル化に積極的に取り組んできた同社は2010年に「日経電子版」を創刊し、2017年12月1日現在で会員数380万人を数えるまでに成長させている。しかも、内55万人は有料会員だ。
そして、次の展開に挑もうと取り組んだのが、今回のリニューアルだ。日本経済新聞社デジタル事業BtoCユニット長の梅谷哲夫氏は、リニューアルの目的を「デジタルファーストに完全に適合させることだった」と述べる。
「デジタルにおけるステージが変わってきたのです。これまでは、本紙がありPC主体の電子版がありました。今後は、スマホを軸としたライフスタイルに合わせたものに適合させることが重要となってきました」(梅谷氏)。
日経電子版を開始した2010年当初、閲覧するためのデバイスはまだPCが主力であり、モバイルではガラケーと呼ばれるフィーチャーフォンが幅を利かせていた。総務省「情報通信白書」によれば、当時のスマートフォンの普及率は9.7%とごくわずかだった。しかし、今や日経電子版では、スマホからの流入が過半数を占め、モバイルWebは月間約5000万PVとなった。そして、もっとモバイルでの有料会員数を増やすなど、新しい収益源を作っていくことを求められている。
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