マーケティングオートメーションはコンテンツが要、B2B企業はどうすべき?【連載】春の短期集中講座「初めてのマーケティングオートメーション」 最終回(1/2 ページ)

マーケティングオートメーション活用の基礎を学ぶ本連載。今回は、MA活用をする上で重要なコンテンツの重要性について解説します。

» 2017年04月13日 07時00分 公開
[小川典子アイ・エム・ジェイ]

 前回「B2Bマーケティングに必要な『見える化』について」でもコンテンツの重要性に触れましたが、マーケティングオートメーション(MA)を活用したB2Bマーケティングにおいて、コンテンツはお客さまとのコミュニケーションを行うキーになります。逆にいうと、コンテンツの不足は、打てる施策の制限を意味します。

 マーケティング部門の役割は「見込み客を獲得すること」「獲得した見込み客が必要としている情報を適切なタイミングで提供すること」「購買検討レベルの高い見込み客を選別して営業部門に渡すこと」であると述べました。コンテンツは、このいずれにおいても重要な働きをします。

自社サイトに持つべきコンテンツとは

 どういったコンテンツを持つべきか。それを考える際には、自社のサービスや商品について予備知識がないお客さまに対し、どのように売り込んでいくかを思い浮かべてみることをおすすめします。これは、営業担当者であれば常にやっていることですから、その手法を参考にするのがよいでしょう。

 注目を集めるため、恐らく営業担当者は最初に業界の最新動向や最新技術などの話をするのではないでしょうか。その後、お客さまが抱えている課題を整理し、それを自社がいかに解決できるかをアピールするはずです。信頼を得るために、過去の実績の話もするでしょう。また、競合企業との違いや強みも強調したいところです。

 このように、営業プロセスを想定しながら、お客さまの購買プロセスの各段階にマッピングできるようにコンテンツを整備していきます。

 第1回「B2Bマーケターの皆さん、お客さまへの接触機会を逃していませんか?」で述べたように、B2Bの購買プロセスの60%は、サービスについて問い合わせをする以前に完了しているといわれています。購買の初期段階において、お客さまは情報収集の大部分をインターネットでカバーしているのですから、企業はそれに対応しなければいけません。つまり、従来営業担当者がお客さまを訪問して対面で行ってきた話の半分以上をコンテンツ化し、自社のWebサイト内に持っておく必要が発生しているのです。

購買プロセスを意識したコンテンツ整備

 各購買プロセスにマッピングする形でコンテンツを整備することにより、どの検討段階のお客さまとも接触機会を創出できるようになります。

 各コンテンツへの到達経路は、検索エンジン、広告、他サイト、メールからの流入、サイト内他ページからの回遊などがありますが、購買プロセス前半のコンテンツに関しては検索エンジンや広告、他サイトからの到達が多く、「見込み客の獲得」への寄与が大きくなります。

 購買検討プロセス初期段階においては、お客さまは広いテーマのキーワードを使用してインターネット検索を行います。そこで、受け皿となり得る用語集や業界トレンドといったコンテンツを準備し、SEOを意識して制作をしておくと効果的です。

 一方、購買プロセス後半のコンテンツは、お客さまの購買プロセスをさらに先に進めていくための施策に使用します。そのため、メール配信での活用が多くなります。

 MAを活用する大きな利点として、お客さまの興味のレベル(どの購買プロセスにいるか)を把握し、そのレベルを上げていくコミュニケーションが取れることがあります。コミュニケーションのフックになるのがコンテンツ、コミュニケーションの手段がメールということになります。

 お客さまの興味のレベルを上げるコミュニケーションについて、当社アイ・エム・ジェイの「SEOコンサルティング」における、見込み客とのコミュニケーション設計を例に取って見てみます。

 アイ・エム・ジェイのサイト内にある「今、スマートフォンSEOが大事」のような、一般的な興味を満たすコンテンツを訪問されたお客さまがその後、「スマートフォンSEO 簡易チェックシート」といったノウハウ系のコンテンツをダウンロードしたとします。この時点で、このお客さまはSEOに課題があり、解決方法を探している段階にあると判断できます。そこで、SEOの重要性や対策の難易度、自社が解決してきた例などをお客さまの行動に合わせてメールでお知らせし、SEOコンサルサービスへの興味と当社への信頼を醸成していきます。その結果、サービスの詳細をまとめた資料をダウンロードされたとしたら、お客さまの購買プロセス段階はかなり進んだことになります。その状態で営業担当者がコンタクトを取った際に商談化に至る確率は、最初にお客さまが自社サイトを訪問された時点よりかなり高くなっていると予測できます。

 このようなコミュニケーションを設計していくために、購買プロセスを意識したコンテンツ整備は非常に重要になるのです。

コンテンツをフックにした顧客とのコミュニケーション設計イメージ《クリックで拡大》
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