Adobe Analyticsはなぜ「顧客体験の可視化」に優れているのか?【連載】「Adobe Analytics」を使いこなす 第1回(1/3 ページ)

顧客体験の可視化ツールとして多くの企業で導入される「Adobe Analytics」をどう使いこなすか。本連載では、AAならではの機能を紹介しつつ、カスタマーアナリティクスによって可能になることを具体的に紹介していく。

» 2016年11月21日 07時00分 公開
[清水誠, 福島 卓, 川上 洸インテリジェンス ビジネスソリューションズ]

 ログ分析からアクセス解析、Web解析へと進化してきたアナリティクス。米国では、さらにデジタルアナリティクスからカスタマーアナリティクスへと進化しつつある。一人一人の顧客視点で体験(カスタマーエクスペリエンス)を可視化するのが最近の潮流だ。そして、Web解析ツールの中でも「Adobe Analytics(AA)」はそういったデータの取得やレポーティング、分析を得意としている。

 AAの特徴や他の解析ツールとの違いを見いだすためには、表面的な機能ではなく、アナリティクスの市場におけるニーズの変化や、ニーズに応えるためのAAの設計思想、すなわち課題の捉え方と解決するためのアプローチの方法をまず理解する必要がある。第1回ではまず全体の概要を紹介し、次回からは個別の機能や分析アプローチについて述べていきたい。

用語の変遷で理解するアナリティクスの世界観

 システムが自動的に収集したログファイル(生ログ)を集計してマーケティング目的に転用し始めた1990年代、その行為は「ログ分析」と呼ばれていた。当時はページや画像がWebサーバからブラウザへ何回送信されたのかをカウントする単純な集計のみにとどまっていた。

 その後、セッション(訪問)や直帰、ユニークユーザーといったユーザー視点の集計方法によってログ分析が進化する中、分析目的でユーザーの行動やブラウザ環境に関するデータを能動的に収集するビーコン型の解析ツールが出現した。「アクセス解析」という用語が使われるようになったのはこの頃だ。この用語は日本で生まれて広まったものであり、「Access Analysis」と直訳しても英語圏の国では意味が通じない。英語では「Web Analytics」という名称であり、日本語訳としては「Web解析」が最も近い。

 米国では2010年頃から、「デジタルアナリティクス」とも呼ばれるようになった。解析対象がWeb以外のメールやソーシャル、アプリなどのデジタルメディアに広がったためだ。こういった流れを受けて、アナリティクス関連の業界団体も名称を「Web Analytics Association」から「Digital Analytics Association」に変更した。

 さらに近年、アナリティクスは顧客を理解するためのデータの1つであると位置付けられている。こうした変化を受け、「カスタマーアナリティクス」という呼び方も広まってきた。CRM(顧客関係管理)やアンケート、購買データなど、顧客にひも付くデータを顧客単位で集めて統合していくというアプローチだ。

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