星野リゾートの「720度マスターブランディング」【連載】オウンドメディアで企業のブランド価値を高める 第3回(1/2 ページ)

星野リゾートのブランド戦略はなぜうまくいくのか。チャネルの複雑化で叫ばれる「360度ブランティング」のさらにその先の戦略をブランド先進企業に学ぶ。

» 2015年12月16日 08時00分 公開
[後藤 洋トライベック・ストラテジー株式会社]

 「星のや東京」「星のやバリ」をはじめ、旅行業界に次々と驚きをもたらしながら新たな価値を提供し続けている星野リゾート。同社は経営不振であった旅館や施設を次々と買収し、星野リゾート流の「おもてなし」によって高級路線の施設へとよみがえらせるといった手法で成長し続けている。現時点では15のホテル、13の旅館、3つのスキーリゾートを傘下に収め、日本の観光シーンにおけるトップ企業として成功している。

 星野リゾートの魅力の1つは、たゆまぬイノベーションを提供し続け話題性に欠くことのないところである。特にブランド戦略は実に巧妙かつ繊細だ。前回「EXILEとフォルクスワーゲンの現在に『マスターブランド』を学ぶ」触れた、企業のブランド力を測る調査「マスターブランドパワー調査」においても、「ブランドダイナミズム(ブランドの勢いを消費者に評価してもらうもの)」の部門で、セブンイレブンに次いで見事に2位を獲得している。

 今回は、星野リゾートのブランド戦略と、その中核であり体験価値の源泉となる「マスターブランド」について、オウンドメディア事例とともに見ていきたい。

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