マーケティングの「ビジョン」と「現実」のあいだCMO1700名からの考察

米IBMが2011年に行った「Global CMO Study」の調査結果を基に、世界中あらゆる業界/企業におけるマーケティングの現状とCMOの役割について、その課題と今後の方向性を考えてみよう。

» 2013年06月26日 14時54分 公開
[岩崎史絵,ITmedia マーケティング]

 昨年9月、MIT SloanのWebサイトに掲載された記事“The Gap Between the Vision for Marketing and Reality”(「マーケティングのビジョンと現実のギャップ」)では、米IBMが2011年に行った「Global CMO Study」の調査結果を基に、世界中あらゆる業界/企業におけるマーケティングの現状とCMOの役割について、その課題と今後の方向性を示している。

 この調査結果は、IBMが世界64カ国/19業界のCMO1700名以上を対象に実施した対面式のインタビューからの考察だ。調査ではCMO自身に「マーケティングの4P(Product:製品、Price:価格、Place:流通、Promotion:販売促進)についてどの程度の影響力があるか」を5段階評価してもらい、さらに「マーケティング組織はどの程度顧客データを把握/分析し、それに基づいて行動しているか」を尋ねた。その結果について、「4Pへの影響力」と「データ利用」の2軸から「完全版マーケティング指標」を作成し、その相関関係を探っている。

 なぜ「4Pヘの影響力」と「データ利用」の2軸が重要なのか。記事によると、この2つは「マーケティングにおける理想的な役割のビジョン」として1940年代に確立されたという。前者は米国マーケティング協会の理事長であり、ハーバード大学のニール・ボーデン教授が提唱した「マーケティング・ミックス」に由来するもので、4Pの概念はジェローム・マッカーシー氏が確立したもの。マーケティングの絶対的な成功要素はないので、いくつかの戦略を組み合わせて試行錯誤しながら進めるというもので、その戦略の柱として有名なのがこの4Pだ。マーケティング・ミックスにおいては、この4P全体にわたりマーケティング部門のコントロールが必要だとされている。

 もう1つの「データ利用」についても、かなり以前から「マーケティングにおいては、確実なデータにより顧客およびその他ステークホルダーへの確かな理解を得て、それに基づく意思決定が必須」ということが提唱されてきた。そこでこの記事では、4Pとデータ利用の2つの“理想的なビジョン”に注目しているわけだ。

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