まず、サイトよりも視野を広げて「事業としてのゴール」を明確にします。メディアといっても収益モデルはいろいろですが、今回はシンプルに「広告による売上の最大化」と仮定します。
次に、事業に関わるいろいろな人たちが、全体のゴール達成に向けてどのような業務を行っているのか、について考えます。
このような各部署のサブゴールが全体のゴール達成に貢献しているはずです(貢献しないようであれば、無駄な努力をしているか、長期的な別のゴールに貢献しているか、それともコストセンターとして機能しているかのいずれかですが、経営者やマネージャーであれば、それらを区別できることでしょう)。今回は、広告売上の最大化という短期的なゴールを短期的なサイクルで評価したいので、その短期的なゴール達成に貢献している活動やサブゴールに絞り込みました。
各部署の取り組みのパフォーマンスは、どのような数字で評価することができるのでしょうか? 実現の可能性(難易度)は気にしないでクリエイティブに考え、リストアップしていきます。
指標 | |
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1. ニーズの高いテーマに力を入れたい | テーマ別のPV÷訪問者、読了率、滞在時間、訪問者数、PV成長率、PV÷記事数、関連キーワードの検索回数 |
2. 最適な編集者をアサインしたい | 編集者別のPV÷訪問者、読了率、滞在時間、訪問者数、PV成長率、PV÷記事数、関連キーワードの検索回数 |
3. ライターのパフォーマンスを知りたい | ライター別の読了率、再訪問率、シェア率 |
4. 読んだ後の満足度を高めたい | 回遊率、再訪問率 |
5. 反響を知って、今後の執筆の参考にしたい | ソーシャル上のコメント、検索キーワード、次のページ |
6. コンテンツを多くの人に届けたい | チャネル別のUV、PV、SEO効果、シェア率 |
7. 最適な読者に広告を届けたい | 枠のUV、表示率、クリック率 |
8. よく見られてクリックされる効果的な広告枠を確保したい | サイトPVの広告表示率 |
9. 読みやすいレイアウトにしたい | 記事のスクロール率、読了率 |
10. 回遊性の高いナビゲーションにしたい | 訪問あたりのPV、関連リンクのクリック率 |
このような測定方法について考えるということは、それぞれの活動の意義や位置付けについて考え直すということに他なりません。例えば、なぜテーマに関するニーズの高さを気にするのか? ニーズの高いテーマには高い集客力があるためですが、広告などの施策によっても集客力は変動します。また、刺激的で気になるタイトルにすることでも短期的なアクセスは増えますが、本文とのギャップが大きいと満足度が低下するのでバランスが重要です。
などと考えていくと、このリストには抜け漏れがありそうです(思いつきベースで洗い出したので当然です)。網羅性を担保するため、別の角度で検討を進めます。
2で洗い出した指標はどのように関連し合うのでしょうか? ゴールからさかのぼって分解し、ツリーを作成します。関係性には因果関係、前後関係、足し算、掛け算などいろいろな種類がありますが、細かいことを気にする必要はありません。つなげることが重要です。
いろいろ考えながら整理することで網羅性が高まり、無駄が減ります。項目の追加や削除をしつつ、2のリストも見直して更新します。指標がツリーのどこにもつながらずに孤立している場合は、おそらくゴールとの関連が低いので、削除しても良いかもしれません。
なお、このツリーはサンプルであり、組織やサイトによって大きく変わります。立ち上げ直後のサービスであれば、売上を無視して会員数や新規訪問者を増やすこと自体を経営目標にすることもあるでしょう。逆に軌道に乗ったサービスの場合は、もっとコスト面を分解する必要があります。
3の指標ツリーを作成するにあたり、前提とした顧客の行動があるはずです。顧客にはどうなってほしいのか? 何を感じ、何を考えると、どのような行動に結びつくのか? 改めて俯瞰的に捉え直し、モデル化してみましょう。
このモデリングは解析の要件定義が目的なので、3で整理した指標が表す行動や態度を中心に構成します。必ずしも自社の既存モデルやAIDMA、AISASなどの一般的な消費行動モデルに合わせる必要はありません。
それぞれの指標が顧客のどのような行動や態度を表すのかが明確になってきました。例えば、コンテンツが顧客に届いた度合いである「リーチ」の指標としては、PVや訪問回数だけではなく、「ページがスクロールされて画面に実際に表示された割合」や(長いコンテンツを3ページに分割している場合なら)「最後の3ページ目まで閲覧された読了率」なども合わせて把握すると、分析の精度が高まるはず、という仮説が明確になりました。
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