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» 2012年07月20日 08時00分 公開

第1回 ここからはじめるオウンドメディア【連載】オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21(3/5 ページ)

[後藤洋(トライベック・ストラテジー)/福山一樹(電通),ITmedia]

成功の法則2. 生活者のイマを捉え、行動態度変容の実態を知る

スマートフォン、スマートメディアの普及

 インターネットを取り巻く状況は、その創成期から刻々と変化し続けています。近年では、スマートフォンの急速な増加や、Facebook、Twitterに代表されるようなスマートメディアの広がりも、オウンドメディアを取り巻く環境を一変させていることの要因になっています。

 オウンドメディアを取り巻く環境動向、トレンドについては次の3つの事象について押さえてもらいたいと思います。

  1. マルチデバイスによる顧客接点の広がりとビジネス機会の拡大
  2. ソーシャルメディアインパクトによる生活者の行動意識の変化
  3. 加速化するWebグローバリゼーションの流れと企業ガバナンスの重要性

(1)マルチデバイスによる顧客接点の広がりとビジネス機会の拡大

 「マルチデバイスによる顧客接点の広がり」とは何でしょう。特にオウンドメディアを考える上で大事なことは、あなたの会社で管理するネットメディア全般について、こうしたデバイスの多様化の流れを考慮した「コミュニケーション手段の最適化」が図られているかということです。デバイスの多様化は、企業がその対応方法について頭を悩ませることがある一方で、これまで接点のなかった生活者との「コミュニケーションを始めるきっかけ」をもたらし、あなたの会社のビジネス機会の拡大につながるという大きなメリットをもたらします。

 スマートフォンやタブレット端末は、画面サイズの制約は多少あるものの、従来のフィーチャーフォンと比較しても格段に進化しており、技術的にもPCサイトとほぼ同様の技術が適用できるようになりました。つまり、PCでしか閲覧しなかったようなWebサイトに、PCとは違うデバイスから容易にアクセスすることが当然の時代になりつつあるということです。

 こうした流れを受けて、企業もマルチデバイスに対応しようとする動きが活発化しつつあります。自社のオウンドメディア強化という点において、こうしたコミュニケーション接点の広がりはもはや無視できない状況なのです。

(2)ソーシャルメディアインパクトによる生活者の行動意識の変化

 生活者はソーシャルメディア上に広がるリアルネットワークを通じて情報を得たり、ときには発信することが容易になりました。こうした生活者同士のコミュニケーション活動に企業が直接介在することはできません。ソーシャルメディアは、企業が介在できないコミュニケーション活動によって生活者の行動意識を変えるという、企業と生活者とのコミュニケーション活動において多大な影響力を持っているのです。

 「情報を探す」というシーンを思い浮かべてください。何か情報を探すときにはどんな行動をとりますか。まずはYahoo! やGoogleを使って検索してみるという人がほとんどではないかと思います。このように、これまではインターネット上で情報を見つけるには「検索エンジン」の独壇場でした。もちろん今後も検索の重要性は変わらないのですが、ソーシャルメディアによって、生活者に強力な選択肢が加わりました。それが「人間関係」です。

 この考え方は、情報探索における「検索志向」とは大きく異なります。検索行為では、何らかの「探す意志」や「目的」があるはずですから、そこに「偶然」が入り込む余地は小さかったわけです。一方「人間関係志向」の考え方は、先に述べたようなリアルネットワークという信頼性から、得られる情報自体が「有益」であり、「探す意志」や「目的」がなくても、興味のある情報が「偶然」もたらされる可能性が増大したのです。

(3)加速化するWebグローバリゼーションの流れと企業ガバナンスの重要性

 ここ数年、Webサイトをグローバルコミュニケーションの中心にしていく流れが活発になってきました。長く続いていた国内市場の縮小に加え、東日本大震災やそれに伴う電力の安定供給への不安、歴史的な円高による為替リスクの増大など、企業にグローバル化を決断させるだけの大きな要因が、いくつもあったからだと考えられます。

 こうした中でWebサイトをグローバル対応するということは、グローバルに情報発信できる「メディアとしての価値」を再認識し始めている企業が増えているということです。グローバル企業では、これまでカタログのようにしか扱っていなかった各国版のWebサイトも含めて統合し、企業グループのシナジーを最大限に活かすことで、ブランディングや業績向上に貢献していこうという意識が強まっているのです。こうした流れをWebグローバリゼーションと呼んでいます。

 Webグローバリゼーションを検討するには、まずあなたの会社がグローバルマーケット、あるいはローカルマーケットにおいてどのようなポジションで事業展開をしていて、今後どのような事業戦略をとろうとしているかによって、まったくその方向性が違ってきます。例えば、Webグローバリゼーションにあたって、全世界共通で均一的に情報やサービスを提供することで、グローバルに発信する情報のガバナンス強化に努めたいのか、それとも各国ごとにローカライズした情報やサービスのみを提供するのか。こうした観点で検討を加えていく必要があります。

 以上、オウンドメディアの構築に向けて、押さえておくべきトレンドを俯瞰しました。移り変わりがはやいインターネットの世界においては、トレンドが過去のものになる日がすぐに来ますが、拙速になんでもかんでも実施していく必要はありません。しかし、あなたの会社のビジネスを変え得るトレンドについてはすぐに取り入れられるよう、日々情報に触れ、その感度を養っておく必要があることを忘れないでいただければと思います。

 このように、変化し続け多様化するマーケット環境においては、ユーザーが今何を考え、どんなニーズを持っているのかを「知る」ことからはじめる必要があります。オウンドメディアを考える上で、まず出発すべきはユーザーを知ることなのです。次章では、そのことについて触れていきたいと思います。

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