ECサイトで成功するSEO戦略とは? 具体的な施策と注意点を解説SEOタイムズ編集部が初心者向けにわかりやすく解説

ECサイトの集客に悩んでいる人、ECサイトに必要なSEO対策がわからない人に向けて、押さえておくべきポイントを解説します。

» 2024年08月29日 08時00分 公開
[谷川祐一SEOタイムズ]

 今回は、ECサイトの集客やSEO対策についてお悩みのあなたに、小売業界・ECサイトで必要なSEO対策と、正しい施策の実施方法をわかりやすく解説します。

小売業界・ECサイトにSEO対策が必要な理由

 近年、小売業界やECサイトにとってSEO対策の重要性が高まっています。その背景には、消費者行動の変化やデジタル化の加速があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって消費者の購買行動が大きく変化し、多くの人々がオンラインショッピングを選択するようになりました。

 2023年8月に経済産業省が取りまとめた「電子商取引に関する市場調査」の結果(外部リンク)を確認してみると、日本におけるEC(B2C)の市場規模は前年比9.91%増の22.7兆円と、着実に拡大しています。EC化率は9.13%(前年比0.35ポイント増)にすぎませんが、逆に言えばまだ大きな伸びしろがあるとも言えます。

 今後ますます競合が増えれば、自社サイトへの集客はより難しくなってきます。差別化をはかるためにもSEO対策が必要です。SEO対策を行って上位表示できれば、自社サイトへの流入を増やすことができます。SEO対策は長期的な戦略ですが、一度効果が表れると安定的な集客が見込めます。有料広告に過度に依存せず、オーガニック検索からの流入を増やすことで、マーケティング戦略全体のバランスを取ることができるのです。

小売業界・ECサイトのSEO対策で必要な施策

 小売業界・ECサイトでSEO対策を行う際には、大きく分けて「コンテンツ対策」「内部対策」「外部対策」の3つの施策が必要となります。それぞれの施策について、具体的な方法を解説します。

1. コンテンツ対策

 効果的なコンテンツ対策を行うことで、検索エンジンからの評価を高め、より多くの潜在顧客を獲得できます。

  • キーワード選定
     適切なキーワード選定は、SEO対策の基本となります。ターゲットとなるユーザーが使用する検索ワードを調査することはもちろん、競合他社の使用キーワードを分析したり、ロングテールキーワードを活用したりして、適切なキーワードを選定しましょう。また、キーワードは定期的に見直しを行い、市場動向や自社の戦略に合わせて最適化していくことが大切です。
  • オリジナリティのあるコンテンツ作成
     ECサイトで成功するためには、単に商品を並べるだけでなく、オリジナリティのあるコンテンツ作成が重要です。これにより、ユーザーの興味を引き、検索エンジンからの評価も高めることができます。ただ商品情報を記載するだけではなく、お役立ちコンテンツとしてユーザーのためになる内容を提供するようにしましょう。例えば、使用方法や活用シーンを解説したり、お客様の声やQ&Aを載せたりするのがおすすめです。オリジナルコンテンツを充実させることで、他のECサイトと差別化でき、ユーザーの信頼を得ることにもつながります。また、検索エンジンからも高い評価を受け、SEO効果の向上につながるのです。
  • タイトルと見出しの最適化
     検索エンジンはタイトルや見出しを重視しており、ユーザーも最初に目にする部分であるため、適切に設定することで検索順位の向上とクリック率の改善が期待できます。タイトルにメインキーワードを含める、h1タグには商品名やカテゴリ名を使用する、h2タグ以降で商品の特徴や利点を説明するなど、ユーザーにも検索エンジンにもわかりやすい見出しを心がけましょう。
  • 画像にalt属性を設定する
     ECサイトでは商品画像が多く使用されるため、画像のalt属性設定は特に重要です。alt属性とは画像が表示できない場合に代替テキストとして機能する属性のこと。これをしっかりと設定することで、検索エンジンが画像の内容を理解しやすくなります。商品名や特徴を簡潔に記述し、キーワードを自然に含めるようにしましょう。

2. 内部対策

 ECサイトの内部対策は、Webサイト自体の質を高め、検索エンジンからの評価を向上させる重要な施策です。主に4つの対策が効果的です。

  • 重複コンテンツ対策
     ECサイトでは、同じ商品が複数のカテゴリに属していたり、異なるURLで同じ内容のページが存在したりすることがあります。これらは「重複コンテンツ」とみなされる可能性があるため注意が必要です。重複コンテンツがあるとクローラーの効率が低下する他、評価が分散してしまったり、適切なページが検索結果に表示されなかったりする可能性があります。カノニカルタグの設定やリダイレクトの活用で防げるため、定期的にWebサイト内のコンテンツを見直し、必要に応じて対策を講じていきましょう。
  • 販売終了ページ対策
     ECサイトでは、商品の販売が終了することがよくあります。しかし、販売終了ページを適切に管理しないとSEO対策に悪影響を及ぼす可能性があるのです。販売終了ページが多いと、ユーザーが不快に感じてしまう他、離脱率を高める原因になってしまいます。Webサイトの規模にもよりますが、再販予定があるならそれを記載する、販売終了であればページを削除する、類似商品を表示するなど、対策を実施しましょう。販売終了ページの対策は一度行えば終わりではないため、定期的に確認を行ってください。
  • Webサイト構造の最適化
     ECサイトのSEO対策において、Webサイト構造の最適化は非常に重要です。適切なディレクトリ構造を持つWebサイトはユーザーにとって使いやすく、検索エンジンにも理解されやすくなります。基本的には、ユーザーが目的のページまで3階層以内でたどりつける構造が理想です。
  • 内部リンクの最適化
     内部リンクとは自社サイト内のページとページをつなぐリンクのことです。関連ページを表示する他、パンくずリストやグローバルナビゲーションの設置も該当します。内部リンクを適切に設置することで、Webサイトの構造が明確になり、ユーザーと検索エンジンの双方にとって理解しやすいWebサイトとなります。ただし、リンクの過剰設置を避け、モバイルフレンドリーなナビゲーション設計を意識するようにしましょう。

3. 外部対策

 外部対策としては主に「被リンクの獲得」と「サイテーションの獲得」があります。被リンクやサイテーションが多いということは、他のWebサイトから参考にされている有益なWebサイトであるという証明になります。ECサイトの信頼性と認知度が向上し、検索順位の改善につながるため、必ず外部対策にも取り組んでください。

 ただし、間違った方法で被リンクを増やすとペナルティの対象になるため、自然な形で増やしていくことが重要です。

ECサイトでSEO対策を行う際の5つの注意点

 ECサイトでSEO対策を実施する際には、以下の5つの点に注意する必要があります。

  1. コンテンツマーケティングを実施する
  2. モバイルフレンドリーに対応する
  3. ページの読み込み速度を改善する
  4. スパムリンクは削除・否認する
  5. SSL化に対応する

1. コンテンツマーケティングを実施する

 コンテンツマーケティングとはユーザーにとって価値のある情報を提供することで、信頼関係を構築し、最終的に商品購入につなげる手法のことです。ECサイトは、ただ商品を売るだけで終わりではありません。継続して購入してもらうためには、自社のファンになってもらう必要があります。

 そのためには、ユーザーニーズの高い情報を提供するコンテンツが必要不可欠です。ユーザーにとって有益なWebサイトであると判断されれば、検索エンジンからの評価も上がるため、SEOにもプラスの影響があります。

2. モバイルフレンドリーに対応する

 モバイルフレンドリーとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でWebサイトを快適に閲覧できるようにする取り組みのことです。

 ECサイトにおいて、モバイルフレンドリー対応は非常に重要です。Googleではモバイルファーストインデックスが導入され、モバイル版のページが優先的にインデックスされるようになりました。

 モバイル機器を利用するユーザーは年々増加しているため、デバイスが違っても見やすい・使いやすいWebサイトを意識しましょう。

3. ページの読み込み速度を改善する

 ECサイトの読み込み速度改善は、売上やSEO評価の向上に直結する重要な施策です。ページが表示されるのが遅いと、せっかくアクセスしてきたユーザーが離脱してしまう可能性があります。画像・動画の最適化、CSSやJavaScriptの最適化、サーバーのパフォーマンス向上などに取り組み、ページの読み込み速度を改善していきましょう。

 ただし、改善作業には専門的な知識が必要な場合もあるため、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

4. スパムリンクは削除・否認する

 スパムリンクとは、低品質なサイトからの被リンクのことです。これらが多く存在すると、検索エンジンからサイトの評価が下がる可能性があります。これを避けるためにはリンク元サイトに直接連絡して削除を依頼する他、Googleのリンク否認ツールを使用する方法もあります。

 スパムリンク対策は一度行って終わりではないため、定期的にスパムリンクが発生していないか確認するようにしましょう。

5. 常時SSL化に対応する

 SSLとは、インターネット上の通信を暗号化する仕組みのことです。SSL化によってサイトのセキュリティが向上し、ユーザーに安心感を与えるだけでなく、検索エンジンからの評価も高まります。Googleは、ECサイトを含む全ページで常時SSL化するよう推奨しています。

 ECサイトではクレジットカードの情報や個人情報を取り扱うことが多いため、ユーザーが安心して利用できるようにしましょう。


 年々利用者が増えているECサイトで売り上げを伸ばすためには、競合との差別化をはかり、自社サイトへの流入を増やす取り組みが必要不可欠です。

 SEO対策を行うことで自社サイトの評価を上げ、流入を増やすことにつながります。基本的なSEO対策に取り組むことはもちろん、重複コンテンツ対策や販売終了ページ対策など、ECサイトならではの対策も重要です。

 ECサイトのSEO対策にお悩みでしたら、ぜひこの記事を参考に取り組んでみてください。

執筆者紹介

谷川祐一

谷川祐一さん

たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム シニアマネージャー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(リーダー)としてSEO初心者向けオウンドメディア「SEOタイムズ」とSNS運用代行サービスの立ち上げをおこなう。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。


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