2010年以降に生まれたα世代は、親世代が子どもだった頃と比べると、ブランドに対して成熟した見方を持っている。Z世代やミレニアル世代の支持を得てきたマーケティング戦略は通用しないようだ。
α世代の大多数は、彼らの親が同じ年齢だったときよりも、ブランドに対して成熟した、しっかりした見方を持っている──広告代理店Razorfishと市場調査会社GWIの共同調査で、そんな結果が分かった。このα世代の特徴は、従来のマーケティング戦略に一石を投じるものだ。
α世代とは、2010年から今日までに生まれた世代と定義される。この世代は、テクノロジーとメディアのエコシステムに簡単に触れられる環境にあるので、幅広い興味と知識の探求心が育まれている。ブランドを評価する際、優れた判断力を持ち、見聞も広い。
α世代の懐疑心は、他の面を見ても明らかだ。テレビタレントに対する信頼度は低く、アスリートや有名人をロールモデルと見なす人はわずか21%にとどまっている。この世代は、Z世代が好むスナックやキャンディー製品よりも、創造性を刺激するブランドに対する好感度が高いことが示されている。
α世代が親から自立し、購買力を獲得するのはまだ先のことだが、ブランドに関しては他の若い世代よりも洗練された考えを持っている。アスリートや有名人をあまり重視せず、特に「テレビに出ている人々」に対する評価は低く、α世代の中では最も信頼できないグループのトップ3に入っている。その代わりにコンテンツクリエイターを重視し、娯楽と教育を組み合わせた 「エデュテインメント」コンテンツに関心がある。
これらの洞察は、ブランドがZ世代やミレニアル世代の支持を得るために採用してきた、信頼性の高いインフルエンサーマーケティング戦略に幾つかの課題を突き付けるものだ。α世代はしばしば、マーケティング活動の規模と信頼性の欠如を結び付ける傾向がある。有名人が支持していることを理由にブランドを「お気に入りに選んだ」人はわずか14%で、企業が「大々的な コマーシャル」を制作したことを理由に、ブランドを選んだ人は20%にすぎなかった。
α世代が好みのブランドをランク付けする際、テクノロジー企業と「インスピレーションとクリエイティビティの促進者」(Razorfishの用語)をポイントとして挙げた。AppleとSamsungがトップ5にランクインし、LEGOもランクインした。このリストは、M&M's、Oreo、Doritosなどのスナックブランドに偏っていた2012年のZ世代の選択とは対照的だ。
α世代の傾向は、一見すると直感に反しているように見えるかもしれない。彼らは最もデジタルネイティブな世代であり、彼らの親の62%が「自分の子どもは自分たちが同じ年齢だった頃よりも、ソーシャルメディアに費やす時間が多い」と報告している。α世代は13歳までに大人と同じ台数のデバイスを所有し、90%がスマートフォンを所有している。インターネットを閲覧する際、58%がブランドに関する情報を探し、ほぼ同じ割合(56%)がハイテクな製品を調べている。
しかし、それがα世代の現実世界での交流を弱めることはない。彼らの親の62%は「自分の子どもは自分たちが同じ年齢だった頃よりも社交的だ」と考えている。Z世代が新しいブランドを発見する際、2番目に人気のある方法は、店舗やショッピングモールなどの場所での対面での交流だ。
ハック、ハウツー、DIY動画は、α世代に最も人気のあるコンテンツの一つであり、自立心と問題解決の志向を表すものだ。こうした特徴に対し、親の認識も変化している。一部の“テクノロジー批判”にもかかわらず、3分の2は「自分の子どもは自分たちが同じ年齢だった頃よりも独立した思考を持つようになった」と考えており、61%は「最新のテクノロジーが学習効率の向上につながる」と考えている。α世代の間では、ChatGPTなどのAIが教師に次いで4番目に好まれる学習媒体になっており、素早い回答が得られることへの期待を示している。AI、ChatGPTはこの分野で書籍を上回っており、米国のリテラシー危機の長期化を示唆している。
Razorfishのレポートによると、α世代は「tipsや実用的な洞察を重視する」という。「マーケティング担当者はこの考え方を認識し、すぐに役立つ知識を求める欲求を満たす、実用的なコンテンツを通じて彼らの注意を引き、ブランドを浸透させる必要がある」
α世代は好奇心が旺盛なため、Z世代と比べて識別可能な関心事を2倍以上持っている。しかも、その興味は一過性のものではない。α世代は、ゲームやゲーム化された体験といったZ世代の好みも引き継いでいる。最も楽しめるブランド体験では、α世代の53%が「役立つスキルを教えてくれるゲームやアプリ」を挙げている。
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