AIはマーケターにとって最優先事項であり最大の課題でもある――Salesforce「マーケティング最新事情」(第9版)今日のリサーチ

厳しい競争環境の下で大規模なパーソナライゼーションと効率化を実現するため、マーケターは生成と予測の両面からAIに着目し、業務を進化させています。もちろん日本においてもAIの導入や活用は最優先事項です

» 2024年07月27日 20時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 セールスフォース・ジャパンは、日本からの250人を含む世界29カ国(北米、南米、アジア太平洋地域、欧州、中東)のマーケティングリーダー4800人以上を対象に実施した調査結果を基に、年次調査レポート「マーケティング最新事情」(第9版)の日本語版を公開しました。同レポ−トはマーケターがAIをどのように評価して業務に導入しているのか、データ取得、メンテナンス、アプリケーション戦略にどのように取り組んでいるのか、そして脆弱性の増加に伴う顧客の信頼とセキュリティの確保などの観点から、最新のトレンドについて明らかにしています。

 29カ国の全回答者を対象にマーケターの最優先項目および克服すべき最優先課題を聞いたところ、いずれもトップは「AIの導入と活用」でした。

マーケターの最優先項目と最優先課題(画像提供:セールスフォース・ジャパン、以下同)

できるマーケティングチームはそうでないチームの2.8倍もAIを導入

 日本のマーケターの75%は、すでにAIを試験導入しているか、業務に完全に導入しています。AIの導入は差別化のポイントでもあります。パフォーマンスが高いマーケティングチームはパフォーマンスが低いチームに比べて業務にAIを完全に導入している割合が2.8倍高くなっています。日本のマーケターの間で最も活用されている3つのAIユースケースは「データ統合の自動化」「顧客/見込み客の行動の予測」「顧客対応の自動化」でした。

マーケティング組織ごとのAIの導入状況(世界29カ国の調査結果)

 マーケターは地域や年齢などの大まかなオーディエンスセグメンテーションにとどまらず、個人の嗜好や過去のやりとりなど、より具体的な識別へと移行しています。また、最もパフォーマンスが高いチームと低いチームの間でパーソナライズへの適応に違いがみられました。日本において、パフォーマンスが高いチームは平均6チャネルを完全にパーソナライズしているのに対し、パフォーマンスが低いチームが完全にパーソナライズできているのは3チャネルにとどまっています。

各種チャネルでのパーソナライズの進行度合い(世界29カ国の調査結果)

 マーケターは統合分析を模索しています。世界のマーケターの88%は「マーケティングが収益にもたらす影響を明確に把握している」と回答しています。日本で同じ回答をした人は91%に上ります。

以下の記述に「当てはまる」と回答したマーケター(世界29カ国の調査結果)

 より良い顧客獲得と維持のためにアカウントベースドマーケティング(ABM)やロイヤルティープログラムのような戦略に目を向ける企業が増えています。一方で、これらのプログラムの情報ソースの多くは、顧客体験と同様にいまだ統合されていません。ロイヤルティーデータが全タッチポイントで完全に統合されていると回答した日本のマーケターは58%でした。顧客が使用できるロイヤルティープログラムの機能の範囲について、全てのタッチポイントで利用可能だと答えた日本のマーケターは37%でした。また、日本のB2Bマーケターは、アップセル(34%)とクロスセル(29%)にABMを活用しています。

タッチポイント全体で顧客が使用できるロイヤルティプログラム機能の範囲(世界29カ国の調査結果)

 Salesforceのプレジデント兼最高マーケティング責任者(CMO)であるアリエル・ケルマン氏は、「生成AIのゴールドラッシュが起爆剤となり、人工知能革命の新たな波が訪れています。マーケターは、テクノロジーの急速な進歩に対応し、顧客や見込み客とのつながりを強化することで、この変化をけん引しています。マーケターがAIを効果的に活用するには、強固なデータ基盤が欠かせません。顧客データを統合し、リアルタイムで有効に機能させる必要があるからです」とコメントしています

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