Googleのレポートは、2024年の第1四半期における中国の影響活動の規模と範囲を明らかにするとともに、これらの活動が世界中の情報環境に与える影響について警鐘を鳴らしている。今後も、偽情報や影響力工作に対する監視と対応が求められるだろう。
Googleは、2024年の第1四半期に、中国を拠点とする影響力工作活動グループ「Dragonbridge」の1万件の活動事例を検出したと報告した。米国での禁止提案に対して抵抗し続けているTikTokチームにとって、これは理想的な結果とは言えないだろう。
Dragonbridgeはインターネット上で最も活発に活動しているグループであり、Googleは2022年にDragonbridgeの工作活動を「YouTube」「Blogger」「AdSense」全体で5万件も検出し、2023年にはさらに6万5000件を検出している。
Dragonbridgeの基本的な手口はまず、プロフィールと広告を作成し、さまざまな低品質のニュース関連コンテンツを共有する。そして、その中に時折、親中国の見解を支持するメッセージを含ませて時事問題に関する投稿を行う。
Google(外部リンク/英語)によると、Dragonbridgeは2024年、台湾の選挙やイスラエル・ハマス戦争を含むさまざまなイベントをターゲットにし、米国に批判的なコメントを展開している。また、「米国の政治的分断を強調する言説を広める」活動も行っており、Googleは米大統領選挙に向けてこれを監視している。
Dragonbridgeのコンテンツは主に中国語話者をターゲットにしているが、英語版のコンテンツにも進出しており、AIが生成したキャスターも利用してその魅力を高めている。
Googleはこれらのプログラムを検出して大きな影響を持つ前に排除する能力を向上させている。だが、中国拠点のグループが他国の意見に影響を与え、親中感情や時には反米のレトリックを植え付けるための継続的な努力を強調している。
これは、TikTokにとって理想的な状況ではない。Googleのレポートには、DragonbridgeとTikTokの直接的な関連は示されていないが、中国の影響活動が依然として活発であることを考えると、Google以外のプラットフォームも同様のターゲットになっている可能性はある。
TikTokは中国企業が運営しているため、中国の工作員が西側のユーザーに広く接触できる可能性があり、論理的には同じ目的で使用されると考えられる。
中国のグループは、TikTokの仕組みについての洞察を得やすく、そのシステムに影響を与える能力も高い。Forbesの記事(外部リンク/英語)によると、ByteDance(TikTokの親会社)ではかつて中国共産党(CCP)のスタッフだった人々が雇用されており、CCPがTikTok中国版のDouyinにおいてユーザーに表示される内容を決定する役割を果たしているという研究報告(外部リンク/英語)もある。
繰り返すが、Googleのプラットフォームで中国発の工作活動が行われていたこととCCPがTikTokに影響力を持っていることに直接的なつながりはない。しかし、これらの懸念が交差し、米国の当局にとって潜在的な危険信号となることは容易に理解できる。
TikTokは禁止法案に対する法的異議申し立ての一環として、セキュリティに関する説明資料を上院に提出している。今後これが一般公開されれば、さらに詳しい情報が明らかになるかもしれない。
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