香り体験をデジタル化する「香りリテールメディア」 東芝テックとスコープが提供開始香りを活用した新しいマーケティング手法

店頭に香りリテールメディア用のタブレットと香料噴射器が付いた商品棚を設置して、消費者がタブレットを操作することで商品ごとの香りが噴射されるようにする。

» 2024年06月20日 18時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 東芝テックはマーケティングおよびプロモーションの企画を手掛けるスコープと共同で、「香りリテールメディア」サービスを開発、2024年6月17日に提供を開始した。

 同サービスは、柔軟剤や芳香剤など、香りをもたらす商品を扱う小売業界が対象。店頭に香りリテールメディア用のタブレットと香料噴射器が付いた商品棚を設置して、消費者がタブレットを操作することで商品ごとの香りが噴射されるようにする。また、噴射の回数をデータとして収集し、消費者の香りへの反応を把握する。この他、商品棚の上部に設置したカメラによって、棚の前での消費者の滞在時間や商品を手に取ったかなどのデータを収集。リアル空間での消費者行動の変化を捉え、これらのデータとPOSデータを掛け合わせて販促効果を分析できるようにする。

タブレット操作によって商品の香りが噴射され、消費者が購買意欲の湧いた商品を手に取るイメージ(画像提供:東芝テック)

従来の香り見本の課題を解決

 香りは、柔軟剤や芳香剤などを扱う消費財メーカーにとって、消費者の購買意欲を左右する重要な要素の一つだ。しかし、従来の香り見本では消費者の行動変容を正確に把握することが困難だった。東芝テックとスコープはこの課題に対して、香り商材の販促をデジタル化し、さらにシステム・ケイが提供する「棚前行動分析システム」を活用することにより、香り商材の販促効果の分析を可能にする。

 タブレット操作による平易な比較が可能となるために、香りの試用率向上が期待できる。また、サイネージと香料噴射器のついた棚で滞在時間が増え、商品理解度がアップする。その他、試されている香りと試されて購入に至った香りの違いが分かるなど、さまざまな効果が考えられる。また、香り見本の設置や管理などに伴う店頭の負担軽減、販促の支援によって、香り商材製品のメーカーが自社のブランド価値を高められる可能性もある。

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