Xの「いいね!」非公開化 イーロン・マスク氏の真の狙いは?Social Media Today

Xが「いいね!」を非公開化するアップデートを実施した。狙いの一つは、Xユーザーが他人の目を気にせず“きわどい”コンテンツに「いいね!」できるように促すことだが、もう一つの狙いがあるかもしれない。

» 2024年06月18日 08時00分 公開
[Andrew HutchinsonITmedia マーケティング]
Social Media Today

 Xは2024年5月に予告していた通り、6月にアプリ内の全ての「いいね!」を非公開にするアップデートを実施した。

 同社によれば、Xユーザーは引き続き、自分が「いいね!」した投稿を見ることができるが、他のユーザーからは見られなくなる。これにより、Xユーザーはより自由にコンテンツに触れられると同社は考えている。

「いいね!」非公開化と“ポルノ解禁”の関係は?

 同社のエンジニアであるハオフェイ・ワン氏は5月、次のように説明していた。

 「『いいね!』の公開は、誤った行動を助長している。例えば、多くの人が荒らしからの報復を恐れたり、パブリックイメージを守ったりするために“きわどい(edgy)”コンテンツに『いいね!』を押すことをためらっている。今後は、誰が見るかを気にせずに『いいね!』を押せるようになる」

 今後、Xのユーザーは“きわどい”コンテンツに興味があれば、他人から検索される心配なく「いいね!」を押せる。このことは、アルゴリズムがユーザーの興味を把握するのにも役立ち、そのようなコンテンツがフィードに表示される頻度は増えるだろう。

 これらは、Xが追い求めているもう一つの狙いを示している可能性がある。

 長い間、ポルノはXのエンゲージメントにおいて重要な役割を担っており、同社はアップロードされる露骨なコンテンツを黙認してきた。Xには許容範囲に関する規約があるが、実質的にはポルノは長らく受け入れられており、規約に明示されていない期間もあった。

 最近、Xは成人向けコンテンツに関するポリシーを更新し、「合意の上で制作・配信されたヌードや性的行為」が正式にアプリ内で認められるようになった。

 ここで考えられるのは、Xが新たな収益源の確保を進めている可能性だ。「OnlyFans」のような形式のサブスクリプションを通じて、成人向けコンテンツの制作者がアプリ内に動画をアップロードし、収益化できるようにする。Xはすでに、OnlyFansのアカウントを宣伝するXユーザーのプロフィール欄を通じ、OnlyFansへのトラフィックを多く生み出している。規約を更新することで、Xは自社の成人向けクリエイターパートナーシップを推進し、より利用率とサブスクリプション収益を高める次の段階に進めるかもしれない。

 このことは、過去にTwitterも検討していたものだ。「いいね!」の非公開化がその役割を果たし、より多くのXユーザーがプライベートな関心事が暴露されることを恐れず、そうした投稿に安心して触れられるようになる可能性がある。

 あるいは、より多くのXユーザーが周囲の評価を気にせず、論争や物議を醸すコンテンツに接することができると、同社は確信しているにすぎないのかもしれない。

 多くの人が指摘しているように、他のプラットフォームでは「いいね!」が公開されていないため、Xがこの流れに沿って仕様を変えるのは理にかなっている。しかし、Xがそのようなコンテンツに対する公的な説明責任を免れて、より疑わしい行動を奨励したり、特定の関心事を増長させたりしているようにも感じられる。

 とはいえ、今回の仕様変更は大きな変化には感じられない。しかし、もしこれが他の何かの前触れだとすれば……。いずれにせよ、Xは「いいね!」を非公開化した。

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