オラクルが広告事業から撤退へ ポストCookie時代の業界地図は変わるか?Marketing Dive

Oracleは「Responsys」「Moat」「BlueKai」などの買収を重ねて広告部門を構築してきた。しかし、山積するプライバシーの問題は事業の継続を困難にしたようだ。

» 2024年06月17日 10時00分 公開
[Peter AdamsMarketing Dive]
Marketing Dive

 Oracleは広告事業からの撤退を決めた。CEOのサフラ・キャッツ氏は投資家との電話会議で、2024年度の広告収益が約3億ドルにまで減少したと述べた。わずか2年前には20億ドルの収益を上げていたことから見るとこれは、急激な減少だ。しかし、キャッツ氏は具体的な縮小計画については詳述しなかった。

競合他社には追い風? そうでもない?

米テキサス州オースティンにあるOracle本社(出典:iStock.com/JHVEPhoto)

 Oracleの広告業界からの撤退は、この分野の他の企業にとって「大きなチャンス」を意味すると、コンテクスチュアル広告企業GumGumでグローバルプラットフォーム戦略およびオペレーション担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるアダム・シェンケル氏は述べている。

 「Oracleの収益が単純に最大の競合に移行するだけと思うかもしれないが、この移行が広告業界内での大きな革新の時期と重なっていることに注目すべきだ。従来のCookieへの依存が薄まる中で、広告業界の風景を再定義する可能性のある優れた技術を持つ企業が多数登場している」(シェンケル氏)

 Oracleは、2010年代初頭から一連の買収を通じて広告部門を拡充した。その買収には、高額な取引が含まれている。2013年にはキャンペーンマネジメント(B2C向けマーケティングオートメーション)のResponsysに対して15億ドル、2014年にはデータソリューションのDatalogixに対して12億ドル、2017年には広告検証のMoatに対して8億5000万ドルを投じた。他にもパブリックDMPのBlueKai、ソーシャルマーケティングツールのVirtue、コンテクスト解析のGrapeshotなどを買収している。

 Marketing Diveは、Oracleの資産に関する今後の計画や広告事業の終了までのタイムラインについて問い合わせており、回答が得られ次第この記事を更新する予定だ。

 Oracleの広告事業は、2018年のケンブリッジアナリティカ事件後のFacebookのデータ共有ポリシーの変更や、EUの一般データ保護規則(GDPR)など、より厳しい規制に起因する課題に遭遇した。

 Oracleは、2020年にGDPR訴訟を受けて欧州でのサードパーティーデータサービスを終了した。2016年に2億ドルで買収したAddThisも2023年に閉鎖した。デジタル広告業界専門メディアの「AdExchanger」が以前に報じたところによると、BlueKaiも2022年にデータ共有の慣行を巡って米国でOracleに対して集団訴訟が起こされたことで注目された。

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