まともな広告主の邪魔をする「悪い広告」にどう対処すべきかMarketing Dive

Forresterのレポートによると、今日のデジタル空間には悪質な広告があふれ返り、丹念に考案された広告の効果に悪影響を与えている。

» 2024年04月02日 15時00分 公開
[Sara KarlovitchMarketing Dive]
Marketing Dive

 ショート動画プラットフォームで選択した動画をタップすると、激安の電化製品や生活の問題を解決する奇跡のガジェットなど、あまりにもお得な情報を宣伝する安っぽい広告に遭遇することがある。あるいは、検索結果やWebサイトに表示される、悪質なコードを含んでいる可能性のある奇妙な広告を目にしたことがあるだろう。これらは「悪い広告」のほんの一例に過ぎないが、Forresterの最近のレポートによれば、その存在と拡散は優良な広告に深刻な打撃を与えている。

生成AIが悪い広告の増殖を助長

 悪い広告は以前から存在していたが、生成AIの台頭と広告在庫の増加が問題を深刻化させている。対策を講じなければ、悪い広告の問題は悪化の一途をたどるだろう。

 Forresterシニアアナリストのモー・アリバイ氏は「今は非常にダイナミックな状況だ。変化する脅威のようなものだ。業界として全体的なセキュリティを強化し、悪質な行為者を罰する方法を実際に見つけるまでは、モグラたたきをしているようなものだ」と言う。

 Forresterのレポート「Bad Ads: All The Ways Ads Misbehave and How To Stop Them(悪い広告:広告が不正に動作する全ての方法とそれを止める方法)」では、悪い広告とはどのようなものなのか、また、それらが優良な広告にどのような悪影響を与えるのかを検証している。同レポートによると、悪い広告に接した消費者は優良な広告まで信頼しなくなる。全ての広告をブロックする可能性が高まり、広告主へのリーチが減少する。

 このレビューに当たって、Forresterはプラットフォームやパブリッシャーを含むさまざまな情報源にインタビューを行った。どのような広告がブロックの対象になっているかということと、購入プロセスを理解するためだ。

悪い広告の5分類

 同レポートでは「悪質な広告」「なりすまし広告」「詐欺広告」「重い広告」「分類ミスの広告」という5つのタイプの悪い広告を挙げている。それぞれのタイプが与える害は異なる。有害度の最上位には、消費者を意図的にだましたり消費者のデバイスにマルウェアをインストールしたりする広告がある。害が比較的少ないのは、カテゴリー違いやの広告や重くて読み込めない広告だ。

悪い広告の定義
悪質な広告 ユーザーのデバイスに感染させたり、ユーザーを監視して銀行口座などの機密情報を入手しようとする広告 ユーザーは個人情報を盗まれる可能性があり、それに気づくのが遅すぎるかもしれない
スプーフィング広告 よく知られたブランドからのものと偽っている広告 ブランドの評判を低下させる
詐欺広告 存在しない商品を宣伝する広告または宣伝されたものと異なる商品を宣伝する広告 消費者はお金を失い、それを取り戻すことができないかもしれない
重い広告 リッチメディアコンポーネントを含む広告で、読み込み時間が遅くなり、正しく読み込まれない場合がある クリエイティブが見られない
カテゴリーを誤った広告 特定の対象者向けに意図されている広告が、別の対象者に表示される広告。大人向けに作られた広告が子供向けのプラットフォームに表示される場合などによく起こる 広告が目標のターゲット層に届かない

 全ての悪い広告が同じように作られているわけではない。適切に読み込めない広告は、消費者をだましたりコンピュータをマルウェアに感染させる広告に比べればダメージははるかに小さい。他社の広告をマーケターがコントロールできるものではないが、だからといってマーケターが悪い広告を気にしなくてよいことにはならない。これらの広告は、広告ブロッカーの使用を増加させ、優良な広告の視認性に影響を与える可能性がある。

 近年、悪い広告が増えている背景にはさまざまな理由がある。悪い広告が一般に公開される方法はたくさんある。例えばAIを使うと、悪質なコードを簡単に生成したりセレブを起用した偽広告を作成したりすることができる。広告セールス担当者の解雇も一つの原因だ。彼らは悪質な広告がプラットフォームに掲載されないようにゲートキーパーの役割を果たす。その役割が技術によって置き換えられたり縮小されたりするようになると、悪い広告がWebサイトに掲載される可能性が高くなる。

 「広告セールス担当者とは単に広告費を稼ぐだけでなく、他の人からの電話を受けて、相手が本当の会社であることを確認するために審査を行う人でもある」とアリバイ氏は言う。

 大量の在庫もまた悪い広告の拡散を助長する。YouTubeやInstagramのようなショート動画プラットフォームは特に在庫が多く、ユーザーのフィードに表示される広告をあまり厳選できない。そのため、質の低い広告がプラットフォームに表示されやすくなっている。アリバイ氏によれば、これに対抗する方法の一つが価格(最低価格)設定だ。質の低い広告クリエイターは、配信に多額の費用をかけたがらない傾向がある。価格設定があれば、そのような広告を排除することができる。

 「(広告の購入が)安いから悪い広告ははびこる。(悪質な広告クリエイターは)お金をかけたがらない。だから、悪い広告はCPMがとても低いところで増殖する」とアリバイ氏は言う。

マーケターが取るべき対応

 レポートによれば、悪い広告がアプローチする方法はたくさんある。マーケターは掲載の品質を確保する方法として、パブリッシャーと直接の関係を築く必要がある。大量の自動配信は低品質のサイトに広告が表示されやすくなる。

 次に、広告主は広告の安全性についてパートナーに責任を持たせるべきだ。これはプログラマティックキャンペーンの立ち上げの難しさについて尋ねることや、DSPがクリエイティブを保護し悪質なコンテンツをスキャンするために少なくとも一つのベンダーと連携しているか確認することで可能になる。また、これらの保護措置のいずれかが失敗した場合の予防策も設ける必要もある。

 最後に、広告主は優良な広告を作ることに尽力すべきだ。悪い広告がまん延し続ける環境では特にクリエイティブな状態を維持するとともに、適切な環境に適切な広告を確実に掲載することが重要だ。自社が優れた広告を作っている場合でも、この問題を意識する必要がある。

 「悪い広告が次なるターゲットとして狙うのが大企業だ。現在、既存の商標検出ツールを回避することによって商標を改変する能力を備えた非常に現実的なディープフェイクテクノロジーが存在する。これによって、どの企業もブランドエクイティーを失う危険にさらされている」とアリバイ氏は言う。

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