熱量スコアを含めたSNSの各指標と売り上げにどのような相関があるかを分析する。
トレンダーズは2024年3月19日、横山隆治事務所(有限会社シックス・サイト)と共同で、SNSの数値と売り上げの相関を分析するプロジェクトを開始したと発表した。第一弾として、SNS投稿の熱量を数値化した「熱量スコア」がブランドの目標達成に向けた重要な指標となり得ることを明らかにした。
熱量スコアはトレンダーズがSNSマーケティングの施策成果、とりわけパーセプションチェンジへの寄与の度合いを定量化する目的で独自に開発したSNS分析手法だ。熱量は「愛用」「感動」「推奨」「評価」「本音」の5種類にカテゴライズされる。AIのディープラーニング、転移学習(学習済みの知識の別領域への応用)のテクノロジーを使ってSNS 投稿内容の熱量を測定し、どのような熱量傾向があるかをスコア化する。
熱量スコアを用いて施策の前後でスコアに変化があったか否かを検証することで、パーセプションチェンジを可視化し、競合との比較もしやすくなる。5つの判定軸を設けていることで、今後どういった面を伸ばしていけばいいかの議論も可能になる。
横山隆治事務所とのプロジェクト第一弾の分析では、CCCMKホールディングスにも一部協力を依頼。あるブランドに関するSNSデータ(投稿数、エンゲージメント率、熱量スコアなど)をトレンダーズが提供し、CCCMKホールディングスにて購買データとの相関分析を行ったところ、「相関関係あり」という結果が得られた。
今回の分析は、データセットにおける日別の目的変数と説明変数の相関、および機械学習モデルを利用した説明変数重要度を算出したものだ。目的変数は曜日周期性とキャリーオーバー効果を考慮するため、「購買補正人数」の7日間平均を取った「購買補正移動平均後7日」とした。分析に用いた説明変数は以下の通りだ。
上記条件の下、データセット相関行列を見ると、5つの熱量スコアはどれも目的変数に対して正の相関が見られた。また、各SNSの数値の中で、正の相関が見られるものは熱量スコアのみであることも分かった。ただし5つの熱量スコアは各項目相関係数も非常に高いため、トレンダーズはKPIとしては各熱量スコアの合計である「総熱量スコア」のみで評価すべきと考えている。
また、機械学習モデルにより算出した各説明変数重要度を見ると、Xのリポスト数やいいね数も、購買人数を予測・説明する上で重要な変数であることが分かった。熱量スコア以外は目的変数との強い相関は見られなかった。
以上の分析結果から、このブランドにおいてはKGIを「購買人数」としたとき、KPIを「総熱量スコア」とし、参考指標をXのエンゲージメント数とすることでブランドの目標達成に近づけるという結論に至った。
今回の分析時点では、熱量スコアの算出範囲はInstagramのキャプション情報に限られていたが、2024年2月にはX版のシステムもβ版をローンチし、現在はInstagramの画像のクオリティーや熱量までもスコア化するテストを行っている。
トレンダーズと横山隆治事務所の共同プロジェクトでは今後も熱量スコアをはじめとしたSNSマーケティングの指標設計やブランドの本質的な課題を解決するための分析に注力していく。
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