B2Bマーケティングにおけるメルマガ施策は簡単そうに見えて難しいもの。どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。
※本稿はイノーバが2023年6月に実施したウェビナー「B2Bマーケティングにおける正しいメルマガの設計方法」の内容を書き起こし、再編集したものです。
購買検討期間の長いB2Bビジネスでは、顧客企業に向けて継続的に情報を渡し、関係性を維持する必要があります。こうした特性を考えると、忙しいさなかでも気軽に読めるメールマガジンは今なお重要な施策の一つであると言えます。
また、昨今は在宅勤務の拡大で電話営業が以前と比べて難しくなったこと、GoogleによるサードパーティーCookieの廃止が目前に迫っているといった事情から、あらためてメールが注目を集めるようになっています(ファーストパーティーデータである顧客メールリストは、顧客との関係性を強化するための強力なツールになる可能性があります)。
もちろん、メールマーケティングには課題も少なくありません。メール配信自体が目的化してしまうとメールマガジンの質が低下し、結果的には商談件数の低下につながることもあります。どのようにすれば適切なメールマーケティングを実施できるのでしょうか。幾つかのヒントを紹介します。
一般的にリード獲得が十分にできている企業は全体の約1割程度で、9割近くは新しいリードを必要としていると言われます。しかし一方で、リードを獲得しただけでは商談にはならないという問題があります。ハウスリストの増強にいくら注力しても、リストにあるホットリードが1%にも満たないケースが少なくないのが現実です
こうした状況で重視すべきは、リードナーチャリングです。ホットリードになってからアプローチする「刈り取り型」では、まだ確度の低い情報収集段階から継続的にアプローチをしている企業に競り負けてしまいます。
企業が企業から製品を購入するB2Bの取り組みでは担当者が1人で導入を決めるケースはほとんどありません。金額が多ければ役員や、場合によっては購買委員会といった複数人での検討になります。そのためキーマンの懐にいかに入り込んでいくかが重要となります。企業は早い段階から役立つ情報を定期的に顧客に提供し、顧客とコミュニケーションを取っていく必要があります。言い換えれば、早い段階から情報を収集する人は、製品選定時のキーパーソンになる可能性が高いということになります。
メールは多くの人がビジネスで一般的に使うコミュニケーションツールであり、働く場所を問わずにアプローチができます。データの観点から言えばまぎれもなくファーストパーティーデータであり、メールマーケティングはリードナーチャリングの手段として、依然として有効な方法と言えます。
しかし、ユーザーの立場に立って考えれば分かるように、企業によるメールマガジンはうまく作らないとうっとうしい存在になりがちで、迷惑メールとして扱われることも少なくありません。データによるとメールマガジンの購読解除の2大要因は、「興味のない広告宣伝」と「配信頻度が高過ぎること」です。
逆に言えば、メールを有効に活用するためには購読解除されないようなメールマガジンを作り出せばよいのです。具体的には以下のような要素を満たす必要があります。
まずは自分の経験上、いつも配信を楽しみにしているメールマガジンや情報収集に役立っているメールマガジンはあるかを考え、それを目指してメールマガジンを作成配信するといいでしょう。
メールマーケティングを成功させる上ではまず、自社の運用レベルを確認しておくことが重要です。メールを受信する顧客が「うざい」「迷惑」と考える原因は、送信企業側の運用課題にあるケースが多いからです。
ありがちな課題の一つは、「メールマガジン業務はルーティン化しやすいことから、新人が担当している」といったものです。こうした場合、事業部をはじめとする他部署から提供された情報をそのままメールマガジンに載せて、工夫もなくただ情報だけを送るという施策になってしまっていることがよくあります。
本来、メルマガは顧客に気持ちを届けるお手紙です。惰性で続けていても本末転倒です。新人に任せるにしても、何のために送っているのか理解してもらい、経験のある人が十分なサポートをする必要があるでしょう。
もう一つのありがちな課題は、「正しい配信内容、文字数、頻度が分からない」といったメールマガジンの仕様に関するものだ。これにはある程度、送るべき内容、適切な文字数、頻度があるので追って紹介します。配信頻度と内容については特に注意が必要で、ここを誤ると“うざい迷惑なメール”になってしまいます。顧客は一日に何百通ものメールを受け取っており、特に決裁権者など職位が高くなるほど受け取る通数も増えていきます。記憶にない担当者からサービスの情報や商品案内だけのメールが頻度高く届くと、「この企業、担当者は、自社都合でばかりメールを送ってくる」と顧客体験を低下させてしまいます。
自社のメールが顧客体験の低下を起こしていないか――。それを確認するためのチェックリストを紹介します。チェックリストで一つでも当てはまる場合には見直しが必要だと思ってください。
では顧客との関係性を高めるためにどのようなメールを送ればよいのでしょうか。メールマーケティングは目的ではなく手段。顧客の気持ちになって「買っちゃった」「好きになっちゃった」と思ってもらう状態を作り上げることがB2Bマーケティングの重要なポイントです。
そもそもメールマガジンは、顧客にとって情報収集手段の一つです。そのため読者は自分に関係のある内容であってほしいと当然考えます。自分が抱えている業務課題や自社の経営課題に近しい内容であればなお良いということになります。こうした状況を考えれば、送り手が持つ情報を起点に送る内容を考えるのがまず間違いで、メールマーケティングにも「顧客起点」の考え方が重要と言えます。
イノーバでは、メールマガジンやウェビナーホワイトペーパーを作る際に社内でワークショップを実施しています。営業部門やマーケティング部門、コンサルティング部門で集まって、「今顧客が知りたいことは何か」というアイデア出しをします。ここで出たアイデアを基に自社が提供できる顧客にとって役立つ情報を考えます。顧客の知りたいことに関する解像度が高ければ高いほど面白いメールマガジンが作れます。商品とひも付く内容であれば、商談にもつながりやすいでしょう。
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