グローバルマーケティングを手がけるアウンコンサルティングが、2023年の訪日外国人客の動向をまとめました。
国内外の拠点でマーケティング支援事業を展開するアウンコンサルティングは、2023年の訪日外国人の年間動向について、日本政府観光局(JNTO)の統計やGoogleの検索ボリュームなどのデータを用いて分析した結果を発表しました。
2023年は、円安により日本国内の商品やサービスの割安感が強まったことなどを背景に外国人観光客の消費が活発化し、訪日外国人旅行消費額が統計開始以降、過去最高額を記録しました。2023年の訪日外国人旅行消費額は2019年比9.9%増の約5兆3000億円に達しました。
費目別では宿泊費が同29.4%増の約1兆8000億円で、構成比も2019年の29.4%から34.6%へと伸びています。一方、買い物は同16.4%減の約1兆3000億円で構成比も2019年の34.7%から26.4%へと減少。買い物よりも体験を重視する傾向が強まっています。
アジアおよび欧米豪14カ国・地域の日本滞在中の支出は、全ての国・地域で2019年の平均消費金額を上回る結果となりました。マレーシア、インド、英国、米国では、買物代の増加率が100%を超えており、円安がインバウンド消費の追い風となっていることがうかがえます。台湾、香港、中国、インドネシア、フィリピンでは、買物代よりも宿泊料金や娯楽サービス費の増加率が高く、ここでも体験を重視する旅行ニーズに変化していることがうかがえます。
訪日客を国・地域別で見ると、1位が韓国で2019年比24.6%(137万人)増の695万人で、2023年に日本を訪れた外国人旅行者のうち27.8%を韓国が占めています。2位が同14.1%(68万人)減少の台湾で420万人で、2019年調査で1位だった中国は同74.7%(716万人)の大幅減となる242万人で3位でした。
韓国においては、円安や日本各地への地方路線の増便・復便などの影響だけでなく、Z世代の若者を中心にJ-POPやアニメなどの日本文化が流行していることが訪日客数の増加に繋がっていると考えられます。また、中国においては、2023年8月に団体旅行が解禁されるなど、中国政府による規制が緩和されたものの、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出の影響や、中国経済の減速もあって効果は限定的であり、回復は鈍化しました。
調査した8カ国・地域の「東京旅行」「大阪旅行」「京都旅行」「福岡旅行」「北海道旅行」の検索数は日本政府が添乗員の同行を伴わないパッケージツアーの受け入れを開始した2022年8月以降に増加しています。訪日客の多い韓国と台湾のキーワード別の検索数をみてみると、韓国は「福岡旅行」「大阪旅行」の検索数が多いのに対して、台湾では「北海道旅行」が圧倒的に多い結果となりました。
なお、2019年5月にアウンコンサルティングが調査した「世界13カ国の親日度調査 vol.2」において、台湾で「今後行きたい観光地」の1位になったのは「北海道」であり、コロナ禍前から台湾での北海道人気が継続していることが分かります。
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