Threadsの利用率が上昇すれば、イーロンリスクで先行き不透明なXからの乗り換えも現実味を帯びてくる。Threadsのエンゲージメントを促進する要因としてMetaが強調するポイントとは何か。
Threadsの利用率が上昇し、X(旧Twitter)の利用を再考するブランドが増える中、多くの企業が今考えている重要な疑問は、Threadsで何ができるのか、最適なエンゲージメントを得るためにThreadsでのプレゼンスを最大化するにはどうすればいいのかということだ。
Threadsのバックエンドの多くはまだ開発中であり、Metaは需要の増加に対応するためにプラットフォームの拡張に取り組んでいるが、この初期段階で注目すべき点がいくつかある。クリエイターマーケティングプラットフォームのCreatorIQが2023年10月26日にロサンゼルスで開催したカンファレンス「CreatorIQ Connect」で、Metaのマーケティングディレクターを務めるジャッキー・ピメンテル氏が要点を説明した。
Threadsの成長と進化について語る中で、ピメンテル氏は会話が重要だと指摘した。
「コンテンツがうまくいくコツは会話のきっかけだ。Threadsでは会話のきっかけになるようなコンテンツのエンゲージメントが高まっており、私たちは人々が反応するよう促している」(ピメンテル氏)
これは驚くべきことではない。会話プロンプトは、あるトピックについて自分の考えや視点を共有するようユーザーを導くもので、あらゆるソーシャルアプリで一般的なエンゲージメント戦術となっている。そのため、Threadsでも機能するのは当然だが、MetaはThreadsへのより積極的な関与を促進するために積極的に取り組んでいることも強調しており、この側面に少し異なる解釈が加わっている。
長い間ソーシャルメディアアプリで最もエンゲージメントを高めてきたのは、感情を刺激し、人々にコメントやシェアを促すコンテンツだった。ある投稿が人気を集めていれば、より多くのユーザーに配信されるべきだというシグナルをアルゴリズムに送る。そして、より幅広いエンゲージメントを促進する。
感情的な反応を最も促すコンテンツ、特にコメントを喚起するような内容は、怒り、恐れ、喜びなど、覚醒度の高い感情を促すものであることが、さまざまな研究で示されている。このような感情的なトリガーをヒットさせることができれば、コンテンツがバイラル化する可能性が高くなり、ソーシャルアルゴリズムが付随的にエンゲージメントに与えるインセンティブとなる。
MetaはThreadsがそのような道をたどることを望んでいない。考慮すべき要素にはなり得るかもしれないが、むしろ別の種類のインストリームエンゲージメントを促進するために、特定の要素の影響を軽減することを積極的に検討しているようだ。
どうやってそれを行うのだろうか。
その多くは、さまざまなタイプのエンゲージメントに対するアルゴリズムの重み付けに依存する。
おそらくコメント数だけではそれほど影響がないが、コメントと「いいね!」 は何らかの相関関係でより積極的な交流を示す。シェアもエンゲージメントにとって別のマーカーになる可能性がある。Metaはこの辺りのことに関して誰よりも多くのデータを持っているだろうし、さまざまな要素に基づいて、より良い結果を導く別のタイプのアルゴリズムを構築しようとしているようだ。
例えば、Threadsにおいて、再投稿は他のアプリほど増幅されない。これは単に投稿をそのまま再配布するよりも、より直接的なユーザーの関与とコメントを促す狙いがあるのだと思われる。
まだ決定的なアルゴリズムガイドはないが、これらの全ての要素は、Metaが推進しようとしているインタラクションの種類についての直接的な洞察とともに考慮に入れる必要がある。
また、投稿でよくある「Dear algorithm」(※)については、ユーザーの思い通りに働いてくれるわけではなさそうだ。
※編注:自分好みの人や話題とつながるために、自分の関心あるキーワードをリスト化して投稿する行為。
Webメディア「WIRED」(外部リンク/英語)は次のように報じている。
MetaはWIREDに対し、Dear Algorithmの投稿をシェアしても、ユーザーが最終的にThreadsで見る投稿には影響しないことを認めた。アプリの「おすすめ」フィードは、ユーザーが交流したアカウントや投稿など、多くのシグナルに基づいてユーザーごとにパーソナライズされると、Metaの広報担当セーヌ・キム氏は言う。ThreadsはInstagram APIの拡張なので、これらのインタラクションはThreadsとInstagramの両方に及んでいる。
もう一つ重要なポイントは、ユーザーが見たいと思うコンテンツを挙げるための指標としてThreadsがInstagramのエンゲージメントを活用していることだ。
私の意見を言うと、これはあまり良い手ではない。Threadsに最も近い比較対象となるのはXだが、InstagramでフォローしているアカウントとXでフォローするアカウントはまるで違うはずだからだ。ThreadsチームもThreadsが持っている情報を使用してフィードを最適化することを検討してはいる。しかし、Threadsのアルゴリズムだけで各ユーザーがアプリで何を求めているかを理解するのには、時間を要する。
それでも、やはりゴールはそこにある。最終的にはThreadsのアクティビティだけがアルゴリズムによって人々に表示されるコンテンツを決定することになるだろう。全体的なエンゲージメントが高まれば、現在オーストラリアでテスト中のトピックタグと同様に、これを助けることができるはずだ。
より多くのユーザーがこの機能を利用できるようになれば、Threads特有の興味・関心のより良いグラフを構築できるようになる。他のアプリからのインプットの必要性は減り、Threadsが独自の体験としてさらに分離される。ただし、それには時間がかかる。
従って、現時点ではThreadsのエンゲージメントを促進するために、Instagramの視聴者が何にエンゲージしているかに注目するといい。積極的なインタラクションに焦点を当てることによって、Threads内のエンゲージメントを高めることができるだろう。
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