マッキンゼー調査でCMOの3分の2が「CEOはいまどきのマーケティングを分かっていない」と回答Marketing Dive

CMOの役割が進化し続ける中、CEOは彼らの責任を明確にし、測定の枠組みを作らなければならない。

» 2023年11月20日 07時00分 公開
[Chris KellyMarketing Dive]
Marketing Dive

 McKinsey(マッキンゼー)の最新調査によると、CEO(最高経営責任者)とCMO(最高マーケティング責任者)の強固な関係とビジネスの成長には高い相関がある。にもかかわらず、Cレベル(経営幹部)の間には、幾つかの断絶が残っている。

 この調査では、マーケティング責任者の「不明確さ」が指摘されている。また、テクノロジーとデータ主導が進むマーケティング領域についての知識不足、マーケティング測定とビジネスインパクトとの間の不整合にも触れられている。

マーケティング経験のあるCEOはわずか10%

 McKinseyの調査レポート「The power of partnership: How the CEO-CMO relationship can drive outsize growth」(外部リンク/英語)によれば、マーケティングを優先するCEOは、収益を改善する傾向にある。マーケティングを優先するB2C企業はそうでない企業と比較して、5%以上の収益成長を達成する可能性が3倍高く、B2B企業は2倍以上高い。しかし、同調査では、CEOとマーケターとの間に断絶があることも明らかになった。

 CMOは伝統的に4P(製品、価格、場所、プロモーション)の責任を担ってきたが、ビジネスのこれらの側面は、CGO(Chief Growth Officer:最高成長責任者)やCBO(Cchief Brand Officer:最高ブランド責任者)など、他の役割の幹部によって管理されるようになってきている。調査に回答したCMOによると、成長と顧客を担うCEO直属の役職を1つしか持たない企業は3分の1以下(32.7%)で、30.7%が2つの役職、36.6%が3つ以上の役職を設けている。

 McKinseyはまた、CEOとCMOの間でマーケティングの任務に対する理解にギャップがあることも発見した。調査対象となったCEOの10人に9人は、マーケティングの役割が明確に定義されていると考えているが、CEOとCMOの両方がこのテーマについて同じ回答をした企業は半数に過ぎなかった。マーケティングがブランドとその評判の「北極星」を設定するという点では30%が一致し、マーケティングがデジタル戦術を駆使して業績を上げるという点では15%が一致し、マーケティングが「ワールドクラス」の顧客体験を提供するという点では5%が一致した。

 McKinseyの推計によると、Fortune 250のCEOのうち、マーケティングの経験があるのはわずか10%で、現代のマーケティングの形態と範囲に不慣れであることが断絶の一因となっている。過去5年間でマーテクソリューションの数は毎年倍増しているが、ほとんどのCEOは、ますますテクノロジーおよびデータ駆動型になっているこの分野に精通していない。調査対象となったCEOの約半数は最新のマーケティングに慣れていると答えているが、CMOの3分の2はそうでないと答えている。

 現代のマーケターの仕事に不可欠な指標についても、CEOとCMOの理解には同様にギャップがある。CEOとCMOのペアのうち、自社のマーケティング指標のトップ3について合意したのは半数にすぎない。CEOは収益の伸びと利益率の改善に重点を置き、CMOはブランドの認知度と知名度に重点を置いている。

 CMOとCEOの間の溝を埋めるために、McKinseyは幾つかの解決策を提言している。第1に、CEOとCMOはマーケターの役割を明確にし、経営幹部の中に顧客中心の成長を担うCレベルの人を任命する必要がある。CEOはCMOがどのように成長に貢献できるかをより深く理解し、マーケティングの革新や消費者行動の変化について、より多くの時間を割かなければならない。CMOはマーケティング活動だけでなく売り上げにコミットし、誰もが理解できるマーケティング測定の枠組みを構築しなければならない。

 Fortune 500のCMOの平均在職期間は減少を続けている。Spencer Stuartの最近の調査によると、2022年には前年の4.5年から4.2年に減少した。広告主上位100社の平均在職期間は3.3年だった。一方、General Mills、Disney、Mars Petcareなどの大手広告主企業は近年、CBOを任命している。

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