投資家の大多数が「サステナビリティ報告書には根拠のない主張が含まれている」と回答しています。
PwCは、多岐にわたる国や地域、資産クラス、投資アプローチをカバーする345人の投資家やアナリストを対象に、投資対象の企業に最も影響を与える要因について調査を実施しました。同調査は2021年から3年連続で実施しており、調査および投資専門家へのフォローアップインタビューを通じて、投資家がどのように脅威と機会を評価し、意思決定に何が重要かを判断しているかを探っています。
今回の調査では、マクロ経済動向やインフレへの懸念は依然として最大の関心事であるものの、2022年のピークからは低下していることが判明しました。一方で、投資判断の材料として気候変動問題に対する懸念が22%から32%に上昇し、サイバーリスクへの懸念と肩を並べています。
一方、今回の調査はテクノロジーの変革がもたらす投資環境の構造変化も浮き彫りにしました。投資家の59%が、今後3年にわたり企業が価値を生み出す方法に影響を与える可能性が最も高い要因として、テクノロジーの変化を挙げています。具体的には、AIの迅速な導入が「とても重要」または「極めて重要」であると回答した投資家は61%を占めました。
サステナビリティも、引き続き重要な要因です。2022年の調査結果からは4ポイント減少したものの、75%の投資家は、企業がサステナビリティ関連のリスクや機会にどのように対応しているかが投資判断の重要な要因であると回答しています。また、半数以上(57%)がサステナビリティ報告書についてより一層の明瞭さと一貫性の必要性を要請しています。
投資家が、サステナビリティ報告書や利用する情報の信頼性について根強い疑念を抱いていること、よく言われる「グリーンウォッシュ」の懸念を感じていることも分かりました。投資家の94%は、サステナビリティ報告書には根拠のない主張が一定程度含まれていると回答しており(2022年の調査結果の87%から増加)、そのうち15%は根拠のない主張が「極めて大量に含まれている」と考えています。根拠のない主張が、中程度あるいは大量に含まれていると回答した投資家の割合は、前年比1ポイント増の79%でした。
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