デロイト トーマツ グループが実施した、デジタル地域通貨の利用実態についての調査結果です。
デロイト トーマツ グループは、全国のデジタル地域通貨利用者1155人と店舗経営者/運営者1030人を対象に、デジタル地域通貨の利用実態について調査しました。デジタル地域通貨が利用者や店舗にどのような効果をもたらすのかを探るのが目的です。
泉留維、中里裕美「コロナ禍における日本の地域通貨について 2021年稼働調査から見えてきたもの」(専修大学学術機関リポジトリ)によると、特定の限られた地域やコミュニティー内でのみ流通・利用が可能な地域通貨は2021年12月時点でのべ668が立ち上げられ、183が稼働しています。スマートフォンを通じたデジタル決済の仕組みが普及して以降はデジタル地域通貨の導入が増加しています。
利用者に対して地域通貨を利用する理由(感じているメリット)を聞くと、最も多かった回答は「他のサービスに比較して高還元」(22.7%)でした。一方で「利用が地域貢献につながる」(21.0%)も同程度の割合を占めました。
決済サービス利用において重視することのトップは「利用できる店舗の多さ」で、「ポイント還元率」や「決済・チャージの手軽さ」を上回りました。地域通貨においても利用できる店舗をいかに増やしていくのかが成否に大きな影響を与えると考えられます。
キャッシュレス決済を導入している店舗ほどデジタル地域通貨を導入しやすい傾向にあることも分かりました。特にQRコード決済を用いているデジタル地域通貨にとっては、QRコード決済の普及・浸透が追い風になっているようです。
デジタル地域通貨を巡っては、運用・維持にかかる自治体のコスト負担など「長く続けることが難しい」といった課題が指摘されています。しかし、地域貢献につながることが高還元と同程度に魅力となっていることが分かった今回の調査結果からは、デジタル地域通貨が目指すサステナブルな仕組みを受け入れる土壌があることが示されたと言えそうです。
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