「Adobe GenStudio」登場 生成AIでデジタルコンテンツの作成が容易にコンテンツの企画から制作、配信までエンドツーエンドで支援

生成AIによってデジタルコンテンツの企画から制作、配信までのプロセスを包括的にカバーするエンドツーエンドの企業向けソリューション。

» 2023年10月16日 18時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 Adobeは2023年10月11に日、クリエイティビティカンファレンス「Adobe MAX」において、生成AI「Adobe Firefly」を核にクリエイティブツール群の「Adobe Creative Cloud」とデザインツールの「Adobe Express」、顧客体験ツール群の「Adobe Experience Cloud」を連携させてコンテンツ生成を支援するエンドツーエンドの新ソリューション「Adobe GenStudio」を公開した。

デジタルコンテンツを即座に生成・編集可能に

 Adobe GenStudioを活用することにより、企業はマーケティングおよび制作のワークフローにおいてブランドイメージに沿ったコンテンツのスケーラブルな展開が可能になる。また、コンテンツサプライチェーン(効果的な顧客体験を促進するコンテンツを制作・配信するプロセス)の最適化により、顧客ロイヤルティーの強化につながるパーソナライゼーションへの取り組みを拡大し、ビジネスを成長させることができる。

 マーケティング担当者はデジタルアセット管理システムである「Adobe Experience Manager Assets」の操作環境を離れることなく、Adobe ExpressとAdobe Fireflyを使ってデジタルコンテンツを即座に生成し、編集することができる。生成したコンテンツは商用利用も可能だ。

生成AIを活用した画像生成例(出典:Adobe)

 また、部門をまたぐシームレスなコラボレーションを実現するため、作業管理ツール「Adobe Workfront」と映像コラボレーションツール「Frame.io」、Adobe Creative Cloud、Adobe Experience Managerのワークフローを統合。コンテンツの再利用により、ビジネス要件に影響を与えずに、品質やブランドの一貫性を損なうことなくプロセスを加速し、最適化する。

 さらに、Web解析ツール「Adobe Analytics」でコンテンツパフォーマンスのインサイトを得ることで、担当者は、どのコンテンツが反響を呼んでいるかをリアルタイムで理解し、改善を繰り返すことができる。

Adobe Fireflyモデルのカスタマイズと新しい自動化機能

 この他、Adobeは企業がブランド独自のスタイル、キャラクター、オブジェクトを使用してAdobe Fireflyをカスタマイズし、自社のニーズに合わせられるようにする一連の新機能を発表した。これにより例えば10〜20枚の画像があれば、Adobe Fireflyモデルを即座にカスタマイズし、組織内の誰もが商用的にも安心でブランドイメージに沿ったコンテンツを生成できるようになる。さらに、厳格なガバナンスとセキュリティ管理により、ブランドのコンテンツ、データ、ワークフローの社外への流出を防ぐ。

 カスタマイズしたAdobe FireflyモデルをAdobe Creative Cloudのワークフローに完全に統合し、制作を自動化できるようにするAPIをベースとした自動化機能も発表。企業はコンテンツサプライチェーンの最適化と飛躍的なスピードアップができるだけでなく、Adobe Experience Cloudと連携して顧客データを活用することにより、パーソナライズされた顧客体験を大規模に展開することができる。例えば、特定の地域やマーケティングチャネルを対象としたキャンペーンを実施する際、最も費用対効果の高い方法で、ブランドイメージに沿ったコンテンツを迅速に制作することができるようになる。

Adobe GenStudioを自社のデジタルマーケティングに活用

 Adobeは、Adobe GenStudioを自社のデジタルマーケティングやAdobe MAXのようなイベント制作に活用し、コンテンツサプライチェーンを加速しています。例えば、Adobe Photoshopの生成塗りつぶしを使用して、InstagramやTikTokなどのソーシャルメディアキャンペーン用コンテンツの制作時間を33%短縮すると同時に、Adobe Fireflyで生成した画像と生成塗りつぶしにより、Adobeのソーシャルメディアにおけるコンテンツ量を倍増している。また、メールマーケティングにも生成AIを活用しており、さまざまな画像バリエーションをAdobe Fireflyで自動的に生成してA/Bテストにかけることにより、平均クリック率を12%向上させたという。

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