マーケターが気になるあれこれについて「AI」に質問してみる本連載。今回のテーマは「匿名キャンペーン」です。
2023年9月に東京・原宿に出現した期間限定の体験型ジュエリーショップ「匿名宝飾店」がSNSを中心に話題を呼びました。この企画は、運営元のブランド名を一切明かさず、来場者に似合うジュエリーの診断やジュエリーの試着、フォトスポットでの撮影といったサービスを提供していたもの。期間終了間を目前にジュエリーブランド「4℃」による仕掛けであったことが明らかになり、さらなる注目を集めたのは記憶に新しいところです。
あえてブランドの名を伏せ、商品そのもので勝負して、結果的にこれまで以上にブランドの価値を高めるという狙いがあったようですが、この野心的な取り組みは他の商品や業種でも応用できないものでしょうか。OpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」にアイデアを考えてもらいました。
ChatGPTは2022年1月以前の情報は知らないので、まず以下のような情報をインプットしました。
匿名宝飾店はSNS時代のブランディングの在り方として斬新であると、ChatGPTも大絶賛。早速、他にどのような取り組みができそうか、例を挙げてもらいました。
ブラインドテイスティングといえば、ペプシが長年のライバルであるコカ・コーラを慌てさせた伝説のキャンペーン「ペプシチャレンジ」が有名です(関連記事:「『ペプシチャレンジ』で煽られて焦ったコカ・コーラの“痛恨のやらかし”とは?」)。テクノロジーショーケースや自動車の試乗なども、バイアスを排除して客観的にスペックを比較してもらうにはいい試みだと思います。
しかし、モノを買う動機って別に性能のよしあしだけで決まるものでもないですよね。匿名キャンペーンに適しているのはどのようなブランドなのでしょうか。
リブランディングを試みている、もしくは新規ブランドを打ち出しているなど、ブランドの価値を大きく高めたいと考えている場合は、試してみる価値はありそうです。ただし、大前提として品質や性能に絶対的な自信があればですが。
匿名で売り出した挙げ句にパッとした評価がなく、ネタばらしをした後の消費者の感想が「やはり大したことなかった」では、恥の上塗りになってしまいますからね。
こうした向き不向きやリスクを踏まえた上でもう一度、「匿名にすることでブランド価値を高める取り組み」を考えてもらおうと思います。
商品名を隠して食品を販売する「ミステリーボックスチャレンジ」は、何かヤミ鍋っぽいですね。スペックや写真だけで入札を募る「オンラインブラインドオークション」は、よほど見た目に自信がないとできないかなあ。あと、これで入札してくるユーザーはさすがに脇甘過ぎでしょって気もします。
そして、「シークレットポップアップ体験」。こちらの内容はというと、期間限定で「匿名のポップアップストア」を開設し、店内では新製品やサービスを体験できるが、ブランドや製品名は明かされない……。ん? ちょっと待って。これってまんま「匿名宝飾店」ですよね。
ChatGPTは既存のアイデアをパクってきたり、それどころかこのように、たった今教えたことをそのまましれっとオウム返ししてきたりすることさえあるので、油断がなりません。それでも、教えたことをすぐに学んでくれて(質はともかく)山ほどのアイデアを瞬時に出してくれるChatGPTは、企画の叩き台作りにはとてもありがたいのですが。
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