マーケターが気になるあれこれについて「AI」に質問してみる本連載。今回のテーマは「バーチャルコマース」です。
先進的な企業が「VR」(仮想現実)や「AR」(拡張現実)を活用したバーチャルコマースを取り入れ始めています。メタバース空間に店舗を出店して商品を販売したり、ARを活用して消費者への試着サービスを提供したりと方法はさまざまです。新しい取り組みは、ブランドのプロモーションとして消費者の目を引き、興味関心を呼び起こします。
しかし、こうしたバーチャルコマースは本当にECにおけるカスタマーエクスペリエンス向上の助けになるのでしょうか。OpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」に聞いてみました。
ARやVRはただのプロモーションにとどまることなく「顧客体験を高め、販売促進を支援できる」とChatGPTは答えています。例えばARを活用すれば商品の3D表示やバーチャル試着サービスを提供することができ、従来型ECサイトでは難しいインタラクティブな商品体験を顧客に提供できます。VRは自宅にいながらも店舗に訪れたかのようなバーチャルストアツアーの提供を可能にしたり、没入型のVR空間でブランドストーリーを伝えることで顧客のブランド理解を深めたりすることもできる、と。なるほどです。
でも、そのためにデータの読み込み時間が長くなったり、特定のアプリケーションをわざわざダウンロードする必要があったり、VR空間で迷子になったりするなら、正直うっとうしいだけではありませんか?
商品点数が多い場合や容量の大きいデータが多い場合には「体験が重くなりがち」と認めつつ、その解決策もあるとChatGPTは言います。シンプルでサクサク動いて使いやすいサービス設計はVR/ARでなくてもしっかりやっていただきたいところですけどね。
単なる新しいものアピールでなく、実際に使い勝手の良いサービスとして、バーチャルコマースが日本で流行する可能性はあるのでしょうか。
新しい技術を受け入れる意欲が高く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によってECやテレワークが普及した日本市場では「UI/UXの工夫」や「リアリティの追求」といったポイントを押さえれば十分に成功の余地はあると、ChatGPTさんから太鼓判をいただきました。
ところで、気になるのが、4番目にある「高齢者へのアプローチ」です。普及のためのキーマンがZ世代でもα世代でもなく高齢者とは意外でした。高齢化の進む日本において重要な消費者である高齢者に利用してもらう必要があり、そのために高齢者がアクセスしやすく、使いやすいサービスであるべきだというのです。
理屈は何となく分かるものの、一般的なイメージとしてシニアにバーチャルコマースはいささかハードルが高そうな気もしますが、どんなもんでしょう。
直感的で分かりやすく、いざというときは手厚く人間がフォローせよと。言うは易く行うは難しではありますが、これはこれで一つの大事な視点。新しい技術となると、ついデジタルと親和性の高いZ世代やα世代だけをターゲットとして考えてしまいがちですが、本当の需要はこうした層にあるのかもしれませんからね。
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