IKEA USAはTikTokにおいて、アニメーション動画を配信して居住空間を有効活用するIKEA製品の使用例を紹介している。新学期に合わせて理想的な大学生活をイメージさせることで、Z世代にアプローチする狙いがある。
IKEAは米国における新しいTikTokキャンペーンで、大学生の生活をアニメアートで描いている。このキャンペーンは「Slice of Life(スライスオブライフ:日常の一コマ)」と題した複数の短編作品で構成されており、大学生がIKEAの整理収納製品で喜びを見いだすシンプルな瞬間を紹介している。このキャンペーンは広告会社Ogilvy New YorkとクリエイティブスタジオClubcampingが共同で制作した。アニメの伝統に従って、作中の登場キャラクターの経歴を描いたオンラインマンガも発表する予定だ。
IKEAが新学期(米国では9月)を前にTikTokで公開した短編アニメでは、さまざまな登場人物がIKEAの整理収納製品を活用しながら、日常生活における困りごとを乗り越えて行く。大学生の生活空間は概して窮屈なものだが、このアニメシリーズでは日常のストレスを解消するのにIKEAがどのように役立つかを描いている。
アニメを使うという選択は、Z世代の消費者を取り込もうとするブランドの意欲を物語っている。アニメは若者に人気だ。本田技研工業が米国で展開する高級車ブランドAcuraも、若くて裕福なドライバーを引き付けるためにアニメを使用してきた。
今回のIKEAのスライスオブライフのアニメは、日常生活の内と外を見せることを意図している。登場人物が存在する世界を描くことで日常生活の美しさと複雑さを強調している。最新のTikTokキャンペーンにアニメを選ぶことによって、IKEAは自社製品の実用性を訴求している。
45秒の長尺クリップにはそれぞれリラックスムードあふれるローファイビートが流れ、消費者に「Find Your Slice of Life This Semester(今学期はあなたの日常の一コマを見つけよう)」と呼びかけている。あるクリップではさまざまな学生の住居を往来する猫が描かれる。猫はアートカートによじ登ったりキッチンを駆け抜けたりした挙げ句に、IKEAの有名な青いバッグの中で鳴き声を発して眠りに落ちる。別のクリップでは2人のルームメイトが登場する。1人は観葉植物に、もう1人は音楽に夢中で、アニメは狭い部屋の中でも2人がバランスを取って仲良く暮らす様子を描く。さらに別のクリップでは、散らかった家に住む学生が勉強するための静かな場所を探し求め、ついには屋根裏部屋にIKEAの机を設置して安らぎを得るまでを描いている。
この心地よいショートフィルムは、学生生活の理想的な、親しみやすいイメージを創造している。IKEA製品はシーンに違和感なく溶け込み、しかもはっきりと識別できる。マンガはストーリーの完成度を高め、消費者がより深く物語に入り込めるようにする。キャンペーンをTikTokで展開することによって、学生寮向けの製品を探している若い消費者のターゲットに確実にリーチすることができる。
このキャンペーンは、他社の新学期キャンペーンとは少し異なる。多くのブランドはまだ7月半ば(本稿の原文執筆時点)だというのに、消費者が何十億ドルも消耗品に予算をつぎ込むこのシーズンに稼ぐための戦略を既に練っている。しかしながら、Amazon.comのようなブランドが安さの訴求をキャンペーンの中心に置くことを選択する一方で、IKEAは利便性を強調することを選択した。これは、キャンペーンのターゲットであり自室の空間を最大限に活用したいと願うZ世代には刺さる可能性がある。
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