今、多くの企業がオウンドメディア運用に活用している「note」。当連載では、SNSマーケティングの総合代理店であるコムニコのエバンジェリストが、複数社の好事例の紹介も交えながら、企業が有効にnoteを活用する方法を解説します。
コムニコの北村です。当社はX(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTok、Pinterest、そしてnoteなど、さまざまなSNSプラットフォームの運用支援を行っています。今回はnoteに関する基本的な情報や他SNSとの違い、企業アカウントを運用するメリットなどを、SNSマーケティングエージェンシーの目線からご紹介します。
noteは、2014年4月にサービスを開始した、クリエイターが文章や画像、音声、動画を投稿して、ユーザーがそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォームです。簡単に運用を始めることができ、個人のクリエイターによる情報発信の利用もあれば、企業やNPO法人など法人が、オウンドメディアの運用という感覚で利用していることも多くあります。2023年5月末時点で3490万件以上のコンテンツが投稿されており、無料で使えるサービスのほかに、法人向けの高機能プラン「note pro」(有料)もあります。
2023年5月末時点における登録者数や法人利用数などの主要数値は、以下の通りとなります(最新の数値は運営元であるnote社の公式WebサイトやIR資料を参照してください)。
会員登録者数 | 663万人 |
---|---|
公開コンテンツ数 | 3490万件以上 |
法人利用 | 2万5000件以上(note、noteプレミアム、note proの3タイプのアカウントでの法人利用合計数) |
月間アクティブユーザー数(MAU) | 4573万(非会員も含め月1回以上アクセスしたアクティブブラウザの合計数) |
月間アクティブユーザー数が4000万を超えるという点で、企業によっては自社サイトよりも集客数が多く、noteを通して自社のことを知ってもらうきっかけ作りにも活用できるのではないでしょうか。
noteは長文テキストのコンテンツが多いメディアです。この点ではブログと似ていると感じる方もいるかもしれません。しかし、noteにはブログサービスとは異なる独自の特徴が幾つかあります。最大の違いは、
という点です。
上の図でも説明していますが、ランキングを作ってしまうと目立つコンテンツ(バズ記事や炎上記事)が上位に集中してしまうことが懸念されるため、ランキングを作らないことでnoteというプラットフォームの多様性を保ち、安心して創作を続けられる雰囲気を作ることが意識されています。
また、広告があると、一般的なブログサービスがそうであるように、自社の記事を書いたのに他社のWebサイトに飛ぶ仕組みになってしまったり意図しない広告が表示されてしまうこともあります。これらのことを防げるので、ブランドセーフティーも守れます。また、広告収益のために無理にインプレッションを稼ぐ必要がないので、ユーザー体験を無視したPV偏重のコンテンツが生まれにくいプラットフォームとも言えます。
代表的なSNSにはそれぞれ目的があります.例えば、今何が起きているか分かるXは“Look at THIS”をシェアするプラットフォームということになります。Instagramは写真を撮るので“Look at ME”、これらに対し、noteは企業の方々が伝えたいストーリーを伝えるのに使うという意味で“Look at STORY”をシェアするプラットフォームと言えます。
メディアプラットフォームには、より新しい情報が更新(投稿)される「フロー型」(X、Facebookなど)と過去のコンテンツも見られやすい「ストック型」(ブログ、note、YouTubeなど)という考え方があります。
普段はフロー型のプラットフォームでコミュニケーションを取り、作り込んだ内容を伝えるときにストック型であるnote(記事スタイル)やYouTube(動画コンテンツ)を利用するといった使い分けが望ましいと、note社は推奨しています。noteとXを並行して運用することで、例えばnoteに記事を公開した際は随時Xで公開のお知らせを投稿したり、逆にXで断片的に紹介・告知したサービスやイベントについて、noteでは追加情報も含め長文でより詳しく紹介するなど、相互補完的な情報発信が可能になるのです。
また、noteのようなストック型は時間の経過とともにタイムラインの彼方に情報が埋もれてしまうことがありません。企業のnoteアカウントを訪れた人はこれまでに蓄積された過去の情報をじっくりと閲覧できるため、自社のことをより深く知ってもらうことができます。
noteを運用する企業には、大きく分けて「採用広報」「B2Cブランディング」「B2Bブランディング」の3つの目的があります。
法人向け高機能プラン「note pro」を契約している企業の多くは、これら3つのうちいずれかを目的とした運用を行っているようです。また、「オープン社内報」というものをnoteで公開している企業をよく見かけます。これは言葉の通り、社内報という本来従業員や従業員の家族のみを対象に共有していた情報を、オープンに外部にも公開をしているということです。社内イベントのレポートや従業員インタビュー、経営者インタビューなど、オープンにしても特に差支え無い内容であれば、社内に閉じる必要はありません。この考えの下、お客さまや入社を検討している人に対しても、社内外関係なく見れる「社内報」で企業のアピールポイントを知ってもらおうとnoteを活用しているのです。
あらためてnoteを運用するメリットをまとめてみます。
第1回となる今回は、noteに関する基本的な情報を紹介させていただきました。次回以降は、多くの企業がnote活用の目的としている採用広報、B2Cブランディング、B2Bブランディングにおいて効果を発揮している好事例をnote社との対談形式で紹介し、それぞれの運用のノウハウをお伝えいたします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.