Appleが、開発者の強い反発を受けてきた課金体系を見直しました。今後のアプリ開発の発展につながるかが期待されます。
いまやアプリ数200万以上を誇る、Appleの「App Store」。その年間売り上げは720億ドルと、ライバルであるGoogleの「Google Play」を約2倍引き離しています。その独占的な立場から、アプリ開発者は好ましくない条件の数々を飲まされてきたのも事実です。ここに、いよいよメスが入ろうとしています。
米国のアプリ開発者がAppleを相手取って起こした集団訴訟の和解案の一環として、Appleは2021年8月28日、問題となっているApp Storeのポリシーに変更を加えることを発表(外部リンク)しました。Appleはこの和解案について、「今回の合意内容は、ユーザーに愛されている安全で信頼できる市場を維持しつつ、開発者にとってApp Storeをより良いビジネスチャンスにすることに役立つ」と述べていますが、実際にはまだ裁判所の承認を必要としています。
世界最大のアプリケーションストアのゲートキーパーであるAppleが行った今回の譲歩は、いずれもAppleに対する開発者の反発の根源となっている手数料率に直接影響を与えるものではありませんが、開発者にとっては、Appleの壁に囲まれた庭からユーザーを誘い出し、アプリ内課金や購読料を受け取ることが容易になるため、App Storeの手数料を完全に回避できるようになります。
「デベロッパーの皆さまに、より柔軟にお客さまにアプローチしていただくために、Appleはデベロッパーの皆さまが電子メールなどの通信手段を使って、iOSアプリ以外の支払い方法に関する情報を共有できることも明確にしています。これまで通り、デベロッパーの皆さまは、ご自身のアプリやApp Store以外で行われたいかなる購入に対しても、Appleに手数料を支払うことはありません」と発表しています。しかしながら、ユーザーはこのコミュニケーションに同意する必要があり、新しいポリシーを利用しようとするアプリ提供企業にとっては障害となる可能性があります。
以下の図は、App Storeコミッションポリシーをまとめたものです。開発者は有料アプリやアプリ内課金、アプリ内サブスク契約(初年度以降)に対して30%のコミッションを支払うことが求められています。
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