サブスクサービス成功への第一歩は、顧客とつながり、データを活用してニーズを把握すること。では、どのような指標に基づいてデータを取得すべきか。取得したデータを基にどのように改善策を検討し、実施すべきか。
通常のサービスや製品販売と同様に、サブスクリプション(以下、サブスク)サービスにおいても、顧客が抱える「特定の課題」を解決するためのサービス設計が行われる。しかし、最初に想定したサービスの提供価値が継続的に顧客のニーズを捉えられるものになっているとは限らない。最初から顧客ニーズを読み間違えている場合もある。継続的に利用してもらえるサブスクサービスの根幹とは、これらのような場合にサービスを改善し続けることである。
これを実現するためには、そもそも設定していた顧客ニーズが今も正しいか、満足度を高めてより長くサービスを利用してもらうためにどのような改善が必要かを、顧客のサービス利用状況から検討し、サービス改善につなげていく活動が不可欠だ。
では、サービス改善に向けた取り組みは具体的にどのように行えばよいのか。ただやみくもにデータを集め、アクションを起こしても、膨大なデータの保持にコストがかかる上、サービスの改善箇所を特定するデータを見つけ出すのに多大な工数がかかる可能性が高い。解決したい顧客の「特定の課題」は何かという指針を持った上で、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設計し、その数字を追いながら、良いときは良い理由、悪いときは悪い理由の仮説を立てる。そして、仮説に基づいた施策を実施し続けることが効果的な取り組みといえる。これをわれわれは「サブスク磨き上げサイクル」と呼ぶ。サブスク磨き上げサイクルは以下4つの構成要素に分解できる。
まずは顧客がサービスを利用することにより、課題が解決できていることを示すKPIを設計し、数値化する。次に取得したKPIの数値を見て、設定した目標に比べて良い/悪い理由がどこにあるか、仮説を立てる。仮説を立てたらそれに基づき改善施策を検討し、実行に移す。そして、施策を実行した結果得られたデータから、当初立てた仮説の正しさや実施した施策の効果を検証する。これらのサイクルを継続的に回すことで、サービスを改善し続けるのである。
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