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» 2021年04月16日 08時00分 公開

データのサイロ化を乗り越えLTVを最大化する変数を発見 ネット宅配クリーニング「Lenet」がやったことデータ統合に「trocco」を活用(1/2 ページ)

事業の多角化などに伴うデータのサイロ化を防ぐためには統合的なデータ基盤が不可欠だ。この基盤を迅速に構築し、ビジネスに生かしたまでの取り組みについて、クリーニングサービス「Lenet」を運営するホワイトプラスのCTOに話を聞いた。

[冨永裕子ITmedia マーケティング]

 日常生活におけるクリーニング店への往来は、必要だが面倒くさいタスクの一つだ。営業時間内に店に行かなければ受け付けてもらえないし、仕上がりを受け取れない。残業で帰りが遅くなって閉店時間を過ぎてしまい、翌日着るものがなくて困った経験のある人も少なくないだろう。

 そのような悩みを持つ人に便利なのが、ネット完結型の宅配クリーニングサービスだ。ホワイトプラスが運営する「Lenet(リネット)」は、洗濯物の受け取りから仕上がり品の宅配までをWebやアプリで24時間受け付けてくれる。

サービスの多様化に伴うデータのサイロ化が課題に

ホワイトプラス取締役CTO創造開発室長兼共同創業者の森谷光雄氏

 2009年開始のLenetは共働きや単身世帯を中心に支持され、2020年5月時点において会員数は40万人を突破している。

 デジタル起点のサービスはデータに基づき顧客のインサイトを理解し、新たなサービスを迅速に立ち上げられる強みがある。実際、ホワイトプラスは創業当時からの衣類のクリーニングだけではなく、布団のクリーニング「ふとんリネット」、靴のクリーニング「くつリネット」、クリーニング付きの保管サービス「リネット PREMIUM CLOAK」と、サービスの多角化を進めてきた。

 事業の数が増える過程で課題となったのが、データのサイロ化だ。事業単位では引き続きデータの活用が進んでいたが、全社的な統一指針を欠くようになってしまっていたのだ。抱えていた課題は大きく分けて3つあった。ホワイトプラス取締役CTO創造開発室長兼共同創業者の森谷光雄氏が語る。

 「第1に、社内のどこにどんな種類のデータがあるか、各事業部門がどのようなデータ活用をしているか、十分に可視化されていなかった。社内のあちこちで同じような分析作業をしているという非効率な状態もまん延していた。第2に、データマネジメントの視点が欠けていた。データを使うというマインドは醸成されていたものの、せっかく作った分析モデルが作りっぱなしになっていた。第3に、組織全体で同じデータを見るという原則が徹底されていなかった。売り上げ一つを例に取っても、抽出条件が部門ごとに違っており、データの正確性が失われていた」

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